ドイツが欧州債務の夜明けを遠ざける
サッカー欧州選手権準決勝でドイツはイタリアに下され、優勝とは無縁となった。
サッカーの試合に負けてもせいぜい、次の機会に巻き返しを図って王者の座を奪い取ればよい。しかし、もし欧州債務危機が適切に解決されなければ、世界経済の情勢は壊滅的な状態に陥るであろう。イタリアやスペインの国債の値戻しが進まないところから見て、EUが債務危機の解決できるかどうかはについて、市場の信用は明らかに失われつつある。その上、債券利回りの不落は、イタリア・スペイン両国を再び「借金を借金で返済する」方法を続けさせてしまう。市場の忍耐力が失うれるにつれて、EUはますます減りゆく時間の中で信用不安解決に努めるばかりだ。
欧州信用不安はイタリア・スペイン両国にまで蔓延してしまった。スペインがEUに融資を受けたことに続いて、イタリアの第三大銀行も間を空けずして援助を求めた。これが影響して現地の銀行セクターは状況が悪化しつつあり、将来的に更に多くのイタリア国内銀行が資金援助を求めるだろうと予想され、結果的にイタリアに援助を求める道を歩むこととなってしまう。
イタリア・スペイン両国はともに欧州区内の第一線国家であるため、この2カ国の問題が引き起こす影響はギリシャ問題よりも深刻となるに違いない。欧州信用不安を真正面から見ると、債務危機がイタリア・スペインの両国に蔓延するにつれて、両国が援助を失い大災害を引き起こすことを避けるため、EU・欧州中央銀行(ECB)・国際通貨基金(IMF)などの組織や基金が新しいアイデアで欧州債務問題の解決方法の研究に取り組んでいる。言い換えれば第一線の国家に問題が発生した場合、危機はかえって速やかな問題解決の機会を得られるということだ。
しかし、EU首脳会議の中で、ドイツのメルケル首相は一貫して強硬な立場をとっており、欧州共同債を発行する方法で債務問題を解決することを強く拒んでいる。
強硬な姿勢は、彼女を各国の矢面とさせてしまっている。ドイツが立場を軟化させない限り、欧州信用不安に夜明けが来るのは依然として遠い。このほか、欧州債務危機が爆発して以来、しきりにEU首脳会議が開かれているものの、毎回実質的な成果は上がっていない。十数カ国から構成されるユーロ圏だが、各国の政治と経済状態は足並みが揃っておらず、各国がEU首脳会議で根本的な意見の一致に達するなど有りえない話となりそうだ。欧州信用不安がうまく解決されるのかどうか、筆者は大きな期待を寄せてはいない。