楽観的なアメリカ株式市場の見通し
ここ数週間にわたり、世界の金融市場は急激に変動している。株式市場の相場はまるでジェットコースターのようで、世界経済の先行き懸念が各主要市場の大幅な上下変動を引き起こした主要因となっている。米国株を見ると、ダウ指数は16,000ポイントを下回ったものの、ここ数日でほとんどの下落幅を回復している。欧州や日本、中国の経済状況はいまひとつで、米国経済の足かせになっているとも言えるため、これを受けて株式市場が調整基調となるのも理解できる。しかし、米国の経済情勢はその他の主要な経済体系と比較してより理想的であり、投資先行きで論ずれば、依然として米国株は比較的好ましい投資選択である。米国株における急落後の迅速な反発から見て、投資家は米国株に対し今なお楽観視を維持している。
欧州は銀行ストレステスト(健全性審査)の結果、25行が不合格となり、その内10行が資本増強を要すると発表しており、今なお欧州債務問題が金融業界に影響を及ぼしている状況が反映されている。今年に入ってから、欧州経済は段階的に下落しており、失業率の高さやデフレ圧力の激化が経済苦境を脱却できない致命傷となっている。経済圧力を緩和するため、ECB(欧州中央銀行)は最近再び措置を打ち出しているものの、この関連措置が欧州を低迷から脱却させられるか否かは疑わしい。欧州の先行きは楽観とは言い難く、このため新たな措置により生み出された資金は欧州から流出し、先行きの明るい市場への投資へ回されてしまう可能性が非常に高い。主に米国がこの恩恵を受ける事となろう。また、そうなれば同様の状況が日本及び中国でも発生すると見られる。
昨年末より、米国はすでに量的緩和の収束へと舵を切っているが、相反して欧日中等の国々では依然として量的緩和による景気刺激を続けている。トレードオフの動きから、資金の米国流入が大局となるのは時間の問題で、流入スピード及びその規模がどの程になるのかは、米利上げペースに左右されるだろう。現在、市場は来年の米利上げを確実視しているものの、正確なスケジュールは予想できていない。世界経済の先行きへの懸念が高まるにつれ、米国が利上げ時期を遅らせる可能性を否めない。