悪材料を払拭する四中全会と滬港通
前日29日の香港株式市場でハンセン指数は3営業日続落し、終値は前営業日比1.90%安の23229.21ポイントとなり、経済にも打撃を与えた。
「佔中(オキュパイ・セントラル;セントラルを占拠しろ)」香港民主化をめぐる市民デモが世界中で報道されている。緊張を緩和するには、政府側、学生側双方が改めて誠実な対話を行う必要がある。さもなくば、北京の中央政府、香港政府そして市民のすべてが取り返しのつかない敗者になってしまう。「佔中」のなかハンセン指数は250日移動平均線を割りこみ、今後の相場がどのようになるかは政情変化に左右され、ひとたび株式市場に政治の影響が出始めると、株式市場の先行き予測は更に困難となる。情勢が明らかになるまで、投資家は慎重な姿勢がのぞまれる。
米ドル高がデモで加速
香港ドルは前日29日1米ドル=7.7634香港ドルと、今年最大の下げを記録し、約半年ぶりの安値を付けており、香港金融管理局(HKMA)は香港ドルは安定しており、銀行間の流動性は十分だと表明したばかりである。
「佔中」発生前には、基本的に香港株と香港ドル安傾向となっていたが、「佔中」の発生はそのトレンドを加速させただけなのだ。「佔中」が長期化した場合、株式市場に心理的な重石がより大きくなるだろう。米ドル高へ転じた要因が、米国への市場の観測が来年利上げが確実となっているためであるが、米ドル高は継続し香港株安は一定期間、継続するものと思われる。
今後は四中全会と滬港通が後押し
多くの不確定要因が懸念される中、香港株の投資雰囲気は理想的とは言えず、今のところ間もなく開かれる四中全会(中国共産党第18期中央委員会第4回全体会議)や、1カ月以内にスタートする「滬港通(上海香港ストック・コネクト)」が好材料となり「厄払い」できる可能性が期待される。最近の関連指標では、中国経済が下振れリスクを脱していない事が示されており、市場は四中全会を機に中国政府が再び経済刺激措置を発表する可能性に期待を寄せている。もし措置の発表があれば、香港株式市場は反発の見込みがあるだろう。
米ドルの強勢が香港からの資本流出を触発しつつ、一方では「滬港通」が香港株式市場への資本の流入を促進することになる。今のところ「滬港通」が香港株式市場にどれほどの資金を呼び込めるのかは予想が難しいが、少なからず米ドル高がもたらす圧力の緩和を少しは後押しするであろう。「滬港通」開始前後に、関連銘柄が再び高騰する可能性があり、投資雰囲気にも改善の見込みがあろう