IMF報告書にてリスクを言及
国際通貨基金(IMF)が世界的な景気回復を脅かす2つのリスク要因として、先進国の金融政策の正常化と新興国の経済成長鈍化を挙げた。IMFは「2014 Spillover(スピルオーバー:波及効果)」レポートで「米国、英国などの先進国の経済は回復してきているが、新興国の経済は全体的に鈍化している」とし「これは新しい波及効果が起因している」と説明している。
この波及効果は、いくつかの国の経済政策が他の国に肯定的あるいは否定的な影響を与えることを意味し、米量的緩和の早期縮小観測が新興国からのマネー流出などにつながった2013年春の経験を踏まえると、 「急激な金融環境の引き締めと新興国経済の構造的な成長鈍化が相互作用して、世界経済にダメージを与えることがある」とし「このような波及的な効果は、世界経済の成長率を約2%引き下げる」と評価した。
IMFは特に「金融政策の引き締めが高い経済成長をクールダウンするためのものではなく、金融の安定性への懸念に起因したものであれば、波及効果は、他の地域、特に脆弱な新興国経済成長にマイナスの影響を与えることになるだろう」と強調している。
新興国のリスク回避方法
先進国が緊縮に乗り出す一方、新興国は成長基調を続けながら、主要国の中央銀行の金融政策の間に差分が生じると、外国為替市場の変動幅の拡大、外貨準備高の不足などの問題に直面することになると断じ、「金融政策の正常化に伴う潜在的な波及効果を緩和するためには、中央銀行との間の円滑なコミュニケーションが重要である」と分析した。
IMFは今年の新興国経済の成長率見通しを従来の4.8%から4.6%に先週下方修正しているが、「新興国の経済成長率が1%低下すると、先進国の経済成長率も貿易の減少などのために平均0.25%ポイント引き下がる」とした。