ホットマネーが流入か
香港ドルの実質実行為替レート(EERI)に強いトレンドが見られ香港高で推移している。香港ドル高を抑制するべく、香港金融管理局は過去に何度も為替介入を実施しており、香港へのホットマネーが流れ込んでいる。香港のほか、新興国市場にもホットマネー流入の兆しが見られ、為替相場や株式市場からもわかる。新興国市場への資金逆流の動きについて、筆者はファンドマネージャーによるトレンド追随が関係していると見ている。上半期、欧米の株式市場は好調に推移し、多くの主要マーケットで相次いで最高値更新が見られたが、一方、新興国市場はやや割安な水準となっている。
新興国への資金流出入
下半期に入りファンドマネージャーが、ポートフォリオを再考し割安な新興国市場関連の投資先を増加させたと見られる。株式市場が割安水準となっている要因はさておき、新興国市場のファンダメンタルズにはまだ大きな変化は見られない。それゆえ、今回新興国市場に流れ込んでいるホットマネーが短期的なものか長期的なものとなるのか、現時点での見極めは難しい。 今回のホットマネーが新興国にどの程度留まるかはさておき、多くの新興国の株式市場においてすでに高値突破しており、この先短期でさらなる伸びが見込める。新興国の株式市場の最近の好調ぶりは主にホットマネー流入が牽引している事から、株式市場のテクニカル面での動きに注意することに加えて、為替相場の行方や中央銀行の動きにはより一層の注意が必要となる。新興国の通貨安や新興国の中央銀行がドルからの外貨準備高をニュースを長らく耳にしなかった場合、投資家は資金が新興国市場から流出している可能性があることを注意すべきである。
香港株式市場の予想
香港株式市場に戻ってくると、ハンセン指数はすでに23,469ポイントを上方突破、今年の新高値を更新しており、下半期は24,000ポイントへのチャレンジが期待できる。ある報道では、最近香港へ流れ込んでいる資金の一部はジョージ・ソロス(George Soros)からだとしている。97~98年の間に、ソロスのファンドはアジア地区で痛ましいアジア金融危機(Asian Financial Crisis in 1997)を勃発させ、香港ドルや先物指数も彼らヘッジファンドの空売り対象となった。まさに「鳳凰無宝不落」(フェニックスは宝の無いところに降り立たず)のごとく、もしソロスが本気で大規模に香港ドルを購入しているような場合、今後香港の株式市場に暗雲が立ち込めるのは予想にたやすい。どうあれ、資金市場の下、投資家は株式市場のめまぐるしい値動きに対する準備が必要だ。