長期的には楽観的なIT関連
最近では米国のIT関連銘柄がやや調整局面となっており、関連して香港上場のIT関連銘柄でも小型の暴落が個別に頻発している。米国であれ香港であれ、ITセクターから流出した資金がほぼオールドエコノミーへ向かっていることから、IT関連銘柄の調整と資金の再配置への流れは大いに関係していることが見て取れる。事実上、今回の調整局面においては、特にマイナス要因が見当たらない事から、莫大な累積株価上昇率や過大評価が調整をもたらした主な要因になったと考えられる。IT関連銘柄の弱気ムードを目の当たりにし、多くの投資家が2000年のITバブル崩壊の再来を懸念し始めているようだが、筆者は過度の懸念は不要だと見ている。
2000年のITバブル崩壊前、IT市場では多くの買収合併が行われていた為、当時と最近の当該市場の状況は確かにやや似ていると言える。しかし、買収合併の増加以外の面では、現在のIT業界と2000年当時とではすでに決定的な違いがあるのだ。2000年当時、多くのIT企業で収益が無く、事業の多くがスタートアップあるいはまだ企画の段階にあったため、「.com」とつくだけのブランド力にかこつけてIT銘柄企業へ業種目的だけを変更してき例は少なからずあった。現在、大部分のIT企業が比較的安定した事業をしている上、毎年の利益も少なくない。このほか、長年の発展を経て、ITの活用はすでに人々の日常生活に溶け込んでおり、この変化はIT企業が順調に発展するための条件を整えているといえる。それゆえ、筆者は今後もIT関連銘柄に将来性があると期待している。
以前の上昇局面の中では、銘柄の品質如何を問わず、香港上場のIT銘柄はみな大幅上昇したものだ。ここ最近の調整局面を経た後は、この先IT関連銘柄にどっと人気が押し寄せて高騰するようなシーンが再来することは無いだろう。資金のフローは、実に質の伴った銘柄の購入に集中する可能性が高い。このほか、IT関連銘柄に見られる最近の調整局面は大量の「蟹民(持ち株の株価が下り身動きが取れなくなった人々)」を生み出してしまった可能性が高く、「蟹貨(塩漬け株)」が蓄積する中でIT関連銘柄が反発に転じるまでに幾重も抵抗に見舞われると予想される。つまり、IT関連銘柄がこの先短期間内で調整を消化し、以前の長期的な上昇基調を回復するには難度がやや高いと言える。