中国本土銀行の問題
中国本土の1月の新規人民元建て融資は1兆3200億元に、社会融資総量は2兆5800億元に達しており、いずれも市場予想を上回る高水準となった。従来年明けは銀行の書きいれ時となり重要な時期である為、融資データが年明けにやや高い水準となるのは正常な現象だと言える。しかし、中国人民銀行(中央銀行)は昨年敢えて金融引締め措置を実行した痕跡が明らかになっている事から、融資データの水準が予想以上に高くなったこの状況下で、中央銀行が更なる金融引き締めに踏み切る可能性が有る。偶然にも、融資データが発表された翌日、中央銀行が8カ月ぶりのレポを実施していることから、まるで市中銀行に対し適度な融資に止めるよう警告しているかのようだ。
中国本土の銀行にとって、今年は間違いなく多難な一年だ。中央銀行が敢えて引締め策を行い、その上、金融市場の開放すると同時に、理財商品がデフォルトの流れを勃発する可能性をはみ、いずれの要因が業界の今年一年の発展を妨げることになろう。また、オンライン金融の出現によって、国内銀行は市場競争の激しさにさらされている。反撃に出なければ、国内銀行の預金は流失を続け、同時に融資コストをも上昇させ、融資の全体的な取引を減少させてしまうだろう。逆に、反撃に実際出るとなると、国内銀行は、預金者により高い預金金利を提供するなど、さまざまな優遇を提供しなければならなり、銀行の経営コストを上昇させ、利益率を低下させ袋小路に入ってしまいかねない。
今年に入ってから、たびたび、中国本土の理財商品のデフォルトのニュースが流れ、近年人気をはくした金融商品が「時限爆弾」と化してしまった。今なお多くの理財商品を購入した人々が「政府におんぶにだっこ」という心理状態であることから、ひとたび現実的に「購入者の自己責任」の原則を政府が実行するとなると、保有者はデフォルトによる損害を大きく被ることになろう。リスクを軽減するべく、銀行の預金をより保障力の厚い保険付帯型の商品に移す預金者も出てくるだろう。1月のデータを総合的に見ると、保険企業の保険料収入がおしなべて力強い増加を記録しており、資金が銀行の理財商品から保険商品に流れていることを反映している。