香港ドルと日本円の動きに注意
資金流出の波が足かせとなって、ハンセン指数は2014年に入ってから下落を続けており、その主な要因は米国の量的緩和縮小ペース加速への懸念だ。それゆえ、香港株式市場の下落が継続するか否かのキーポイントは米FRBの政策次第と見られる。しかし、この状況下で香港株式市場のサポートラインがどこに位置するのかを予測するのは容易では無い。
数年前まで、これまでのテクニカル分析やファンダメンタル分析の評価方法で香港株式市場のサポートラインを予測できたが、近年では株式市場のトレンドが量的緩和策によって捻じ曲げられるにつれ、これらは香港株式市場に影響を与える要因として、多くの場合で資本の流れにかなわなくなってきた。こうなってくると、香港株式市場の底打ちを予測するには、むしろ香港ドル及び日本円の為替動向を観察する方が、手がかりを見つけ出せる可能性が高い。
事実上、いかなる株式市場であっても上昇・下落の要因を突き詰めれば全てが資金動向によるものだ。もし流入する資金が無ければ、株式市場が安くなろうが上昇は難しくなる。
香港株式市場に焦点を当て、香港ドル相場の変動に着目してみよう。近頃、香港ドルは対米ドルで7.76を上回っており、米量的緩和縮小懸念に加えて、春節(旧正月)休暇も香港ドル相場の弱化を引き起こすもう一つの要因となっている。もし特別な事が起こらず、正常な状況であれば、香港ドル相場は春節以降に回復するだろう。万一、香港ドル相場が春節以降も弱含みを継続した場合、香港の株式市場へまだ資金が戻っていない事を意味するため、投資家達は注意が必要だ。
日本円は主要なキャリートレードの通貨である。世界の金融市場が深刻なダメージを受ける際、キャリートレードの巻き戻しが影響し、通常、円高になる。最近の市場の下落において、日本円は1ドル104円から102円の水準へとなっている。円高傾向が止まりさえすれば、世界の金融市場のトレンドが回復し、ひいては反発し上昇傾向へ転じる見込みも出てくる。
資金が新興国市場を逃避する期間が短期となるか長期となるか、現段階で判断するのは難しい。投資リスクを減らすべく、新たに香港ドルが強含みとなるか、あるいは新たに円安傾向となってから市場にエントリーしても差し支えないだろう。