ビットコインに試練
FRBのバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、新年から債券購入規模を月間850億ドルから750億ドルに減らすと発表した。
米国の実体通貨であるUSドル、それに対するような仮想通貨ビットコイン(Bitcoin; 比特币)がここ一年で100倍近くも大幅に価値が上昇し、世界の注目を集めている事を書いたが情報通信が発達した現代、瞬く間に変化するネットの世界では、一秒先に何が起こるのか誰も予測できないものだ。
今月初めには、ビットコインは大きな試練を迎えた。12月5日、中国中央銀行などの多くの政府機関が「ビットコインのリスクに関する注意喚起」を発表、ビットコインが貨幣発行機関から発行されたものでは無く、貨幣として市場で正当に流通できない事が明確に指摘された上で、今後のビットコインの取引には実名登録が必須となった。この発表を受けてビットコインの価格は暴落、12月初めに1単位当たり1,240ドルという史上最高値を記録後、18日、一時455ドルまで下落した。しかし幸いなことに中国政府はビットコインを完全に差し止めることはなく、依然として商品取引を黙認している。
仮想通貨は、従来からの貨幣が新たなツールとして革新をもたらすことへの挑戦であるから、必ずそれぞれの国家政策のプレッシャーを受けることになる。今回の価格下落から、いくつかの事実が見える。まず、中国でのビットコイン取引量は世界でも非常に大きな比重を占めており、ここ数ヶ月間は価格も大幅に増加している。徐々に多くの中国人投資家の参入が要因となって価格が押し上げられ、同様に、中国での価格下落が世界のビットコイン市場に対しても非常に大きい影響力を持つことが判明した。
次に、ビットコインの価値において、将来的にビットコインが実際に流通する貨幣になるのではという予測があったため、現在中国政府がビットコインを「非通貨」であると明確に発表したことが、価値下落を招いた。そして、ビットコインにおける主権・政治リスク(Sovereign or Political Risk)は依然として非常に高く、国家の政策方針がビットコインに価値が有るか否かを大いに決定付けることになる。
中国政府の発表がビットコイン市場にインパクトを与えたと同時に、その他の国々でも対応表明があった。米国政府では公聴会を開催した後、ビットコインの合法性を確立し、金融ツールの一つとして見なすとになった。会議においてビットコインによるマネー・ロンダリングの可能性も懸念されたものの、米国政府はしばらくビットコイン市場に関与しない方針。同様に、インド政府もビットコインに対する管理監督を行わないとし、最近では外貨統制を緩和し広範囲にわたってビットコインの使用機会を提供している。ドイツでは更にビットコインをサポートしている。
ドイツ政府はすでにビットコインを貨幣として認めており、貨幣流通が可能となっている。もちろん反対した国もあり、タイ政府は数カ月前にビットコインの使用を全面的に禁止した。 それぞれの国々で肯定、否定が表明され、また沈黙した国もあるが、全体的には多くの政府がこのような仮想通貨を受け入れ始めている。
米金融大手バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(Bank of America Merrill Lynch)の最近の研究によると、ビットコインの実質的価値は1,300米ドル程度であると報告している。このほか、英国王立造幣局がビットコイン鋳造の検討を始めており、実際に手に触れられる貨幣になる予定だ。これらの好材料が刺激し、ビットコインの価格は大きく反発した。つまり、一連の政策の余波はほんの始まりに過ぎず、将来的にビットコインの合法化が進む過程ではより多くの試練があるはずで、これらのプレッシャーの通して生き残ることができれば、仮想通貨の価値は現在よりも更に高まることだろう。