IPO停止措置を解除
来月より13カ月に及ぶ新規株式公開(IPO)の停止措置を解除する発表を受け、各株式市場にインパクトを与えた。にも関わらず株式市場急落の主な要因は低迷する市場から資金が流出することへの懸念だ。
現実的に、IPO再開で株式市場が下方圧力を受けるか否かは株式市場の漂う投資雰囲気がポイントとなる。もし株式市場での取引が盛んであれば、IPOが株式市場に圧力を与えるとは限らない。A株のパフォーマンスに今なお好転が見られない状況下でのIPO再開は、じきにA株が低迷から脱する予兆であるとプラスに考えれれる。当然IPO再開によってA株が再び下落へ引きずられるような場合、CSRC(中国証券監督管理委員会)はすぐさますべてのIPOを停止、あるいは公開ペースを緩める可能性があると言える。それゆえ、IPO再開がA株にもたらす影響についてはさほど懸念を抱く必要は無い。
IPO再開のニュースよりも、12月には中央経済工作会議及びSHIBOR(Shanghai Interbank Offered Rate、上海銀行間金利)の動向という、一層注意すべき2つの要因がある。
中国では毎年12月に中央経済工作会議を開催しており、翌年の経済成長目標が会議の焦点となる。構造改革の進捗に伴い、市場では中国の来年の経済成長速度が今年に比べ減速するとの見解が広まっている。中央政府が来年の経済成長目標を7%~7.5%とする場合には、市場が意外と受け止めることはないだろう、逆に、もし成長目標が7%を下回ると定めた場合には、株式市場は大きなインパクトを与える可能性が高い。また多くの企業で12月が年次決算月となるため、年次決算の期間中、通常は資金需要がやや逼迫する。
今年6月、企業が中間決算を行った際、「流動性逼迫問題」が起こり、SHIBOR(Shanghai Interbank Offered Rate、上海銀行間金利)が著しく上昇した。6月の経験を踏まえ、中央銀行は市場の資金情況をよく監察し、適切なタイミングで市場に資金を注入すると見られる。それゆえに、12月に再び「流動性逼迫問題」が起こる可能性は当然低いはずだが、万が一「流動性逼迫問題」が再び起こるようなことになれば、株式市場はSHIBOR上昇の影響を受けて落ち込むだろう。
2013年もすでに年末となり、本年の中国の株式市場のパフォーマンスの確定の時期となった。特別なマイナス要因が出ない限り、A株は年末前に“ショーウインドーに飾られ”好調なパフォーマンスを見せるだろう。