ECBマイナス金利を検討
ユーロ圏の経済は、ここ2年近くマイナス成長を続けており、直近ではインフレ率も下落。もとより弱い景気回復感により一層の影を落としている。11月のインフレ率は年初の2%から0.7%へ下落し、今後さらに下落するリスクが有り、このまま続けばデフレに陥りユーロ圏の経済に大損害をもたらす可能性が極めて高いため、インフレ率を上昇と景気を刺激する目的として、ECB(欧州中央銀行)は今月初めに政策金利を史上最低の0.25%へ引下げた。なお、もし金利を引下げるだけでは不十分な場合、預金にマイナス金利の適用をECB関係者が検討しているとする報道されており、景気回復を進めると見らる。
では、ここでマイナス金利とは何だろう?単純に言いうと、銀行に預けているお金に対し、銀行は預金者に金利を支払う必要が無くなるだけでなく、反対に金庫代のように費用を徴収することなる。もし銀行への預金を維持したければ、あなたの預金残高は徐々に減りゆく一方となるのだ。このように一見しただけでは、マイナス金利とはただお金が奪い取られるばかりと解釈され、なかなか理解されにくいものだ。しかし、実際のところマイナス金利はこのように単純なものではない
まず、欧州中央銀行のマイナス金利とは、中央銀行の準備金に対する金利を指している。政策金利がプラスのあいだには、欧州の市中銀行は中央銀行へ預金することで相応する利息を得られますので、金利が比較的高水準となる場合、各市中銀行は中央銀行への預金を選択し、融資の発給を望まなくなる。そして金利がマイナスに設定される場合、中央銀行が準備金に対し費用を徴収するため、銀行に預金を流通させるよう強制する作用が働き、同時に経済セクターへの融資規模が拡大する。
次に、資金の流れが中央銀行から市中銀行間のシフトするので、余裕のある銀行は、資金不足の銀行に融資を実行することが出来る。これは一般庶民である預金者とって全く影響の無い事だろうか。そんな事はないと断言できない。マイナス金利によって市中銀行のコストが増加し、その結果、銀行が預金者の預金金利を引き下げる方法で、コストを預金者に負担させる可能性が出て来る。
理想的な状況下であれば、融資規模の拡大は景気回復に十分な刺激となるが、欧州の多くの銀行関係者はマイナス金利のもたらす効果を決して楽観視しておらず、マイナス金利はあくまで机上の空論であると見なしている。第一に、もし市中銀行が預金金利を引き下げるなかで、マイナスにまで引下げとなれば、市中銀行からの預金の大量流失を当然招いて、預金引き出しに応じられなくなり破綻する可能性が非常に高くなる。一方、銀行が金利引下げを実施せず、融資金利を引き上げて利益を維持するほか無くなる。これでは却って融資規模が縮小し、当初の政策目標とは完全に相反してしまう。第二に、経済の先行きが明るくない状況で、余裕のなる銀行は自身のリスク許容能力を大いに考慮し、大量の資金をほかの銀行に貸し出しだす選択をするとは限らないため、銀行がマイナス金利政策の当初の目標にむけて足並みを揃えるとこは限らないのだ。
現在、マイナス金利も数多くある金融政策の一つの手段に過ぎなく、ユーロ圏の経済が弱っているなかで、実行できる刺激措置は少なく、ECBが非常に深刻な難題に直面していることは間違いないだろう。