緩やかな円安化
日本は来年4月に消費税率を引き上げる。新消費税率の適用を前に、消費者は駆け込み消費に走る可能性が高く、ひとたびその波が生じれば、日本経済は数か月に渡り成長速度があがる見込みがある。しかし、新税率の適用後には、消費市場の景気が反動で弱化となる可能性が出てくるため、新税率が生むマイナス作用を相殺するべく、日銀は年明けにも最大限の力を使い、再び量的緩和規模を拡大し経済刺激に踏み切る可能性が極めて高い。言い換えると、この先の日本円の動きは緩やかな円安化となる。事実上、最近も対米ドルで再び顕著な円安が進んでており、円安の新たな波はすでに始まっていると言える。更なる円安化は、予想されている来年の日銀による量的緩和拡大を織り込み始めているのだ。
日本経済はこの20年余り高齢化問題に悩まされており、景気は継続的に不振にあえぎ、日本の国債総額はGDPの200%をすでに超過している。深刻な政府債務問題に直面し、上限は残り僅かとなってきている。
政府が財政を積極的に改善するべく、消費税率の引き上げは良い選択肢の一つだ。その他の国々の経緯を参考にすると、消費税率を引き上げた初期は、少なからず経済はインパクトを受けるが、市場が適応した後には、徐々に経済は安定しだし、歳入も増加する。思惑どおりになるならば、消費税率のアップは日本経済に短期のインパクトをもたらしたのち、長期的に日本政府の財政を改善に役立つだろう。
財政が改善できれば、日本政府は再度、経済刺激策を実施するだけの余裕が生まれてくる。
最近の円安の流れに従い、日経平均も上昇トレンドの波が押し寄せてきている。円安トレンドが今後ん日本株を上昇させられるか否かは、日本の国債金利が重要な点となる。適度な円安は経済および株式市場に有利に働くが、過度な円安が進めば、投資家が日本円建て資産に対して興味を失ってしまう。このため国債金利がひとたび上昇すれば、経済及び株式市場は必ず下方圧力を受けることになる。