債券価格と利回りの関係 / Price and Yield Relationship
固定利付債(Fixed-coupon bond)が発行されると、表面利率(Coupon rate)は、その時の市況(Prevailing market condition)と発行時の発行体の信用度(Creditworthiness of the issuer)に応じて設定されています。債券が発行されると、市場価格・時価(Market price)で流通市場に出回り、時間が経つにつれて、全体利率(Overall level of interest rates)と発行体の信用リスク(Creditworthiness of the issuer)の水準が変化し、マクロ経済の状況(Macroeconomic condition)と発行体の財務情況(Performance of the issuer)が反映されきます。途中で新たに市場に参加した債券投資家は市場の他の債券と同等の利回り・収益率を望むので、市場利回り(Market yield)は元々の表面利率(Coupon rate)と差が出てくることになります。
プレミアム発行やオーバー パー発行
債券の表面利率(Coupon rate)が市場利回り(Market yield)より高い場合に、仮に引き続き、額面価格(Par Value/票面値)で販売されていると、当然、買い手には割安に見える当該債券が魅力的に映り、一方このような場合には、売り方は額面(Par Value/票面値)でこの債券を販売したくはないはずです。この債券に額面(Par Value/票面値)を上回る価格を設定し販売することは、市場ではこれを「プレミアム発行(Bond sells at a Premium/溢価)」をしていると呼ばれています。例えば、額面価格(Par Value/票面値)HKD10,000の5年期債券、表面利率(Coupon rate)が10paのABC会社が発行した債券があるとします。その後8%par利回り(Yield of 8%)を目標にする投資家は、ABC会社に5年間貸し付けるために、HKD10,000以上の価格でこの債券を望んで購入することになります。また、このような情況は、債券が「オーバー パー(Over Par)で 発行」されているとも言われています。債券価格が額面を上回っている状態です。
逆に、仮に投資家が要求した利回り・収益率が固定の表面利率(Coupon rate)より高いとしても、債券は表面利率(Coupon rate)の価格でものみ販売できるだけですから、債券は割引された価格で販売される(Bond sells at a discount;貼現価)ことになります。このような情況は、債券が「アンダー パー(Under Par)で発行」されたと言います。債券価格(時価)が額面を下回る状態のことです。
以上の例から、もし投資家がABC会社の債券に12%paの利回り・収益率を望むとき、当然HKD10,000の価格で購入することはなく、この債券を販売するには、売り手はHKD10,000を下回る価格で販売することにななります。債券は表面利率(Coupon rate)が市場で必要とされる利回り・収益率と等しいときのみ、表面利率(Coupon rate)と同等の価格で販売することになり、このような情況は、債券が「額面で発行 or パー(at Par/票面値)で 発行」されたと言います。
もう一度まとめると、債券価格(時価)が額面と同じ状態のことを「パー(Par)」、債券価格が額面を上回る状態のことを「オーバー・パー(Over Par)」、債券価格(時価)が額面を下回る状態となります。
等式で表すと以下のようになります。
市場利回り(Market Yield) = 表面利率(Coupon Rate) ==> 額面で販売(Bond sells at Par)
市場利回り(Market Yield) > 表面利率(Coupon Rate) ==> 割引価格で販売(Bond sells at Discount)
市場利回り(Market Yield) < 表面利率(Coupon Rate) ==> プレミアム価格で販売(Bond sells at Premium)
以上からわかるように、市場利回りと債券価格は反比例の関係があると結論付けることができます。 利回り(収益率)が上がるときは、債券の価格が下がり、債券価格が下がると、逆に利回りは上昇します。この関係は、市場参加者(Market players)には、債券の法則(Law of Fixed Income/定息法則)と呼ばれています。
以下の表は20年債が、それぞれ異なる利回り・収益率のもとでの価格で、その関係を図表で描いてみました。
価格の利回りの関係Price-yield Relationship
20年償還、8%表面利率/Coupon bond ($1,000額面/Par value)、異なる利回りの水準の下での債券価格(Price of the bond)は?
市場利回り Yield |
利回り変化 Yield Change |
価格 Price |
価格変化 Price Change |
価格変化% % Price Change |
---|---|---|---|---|
2%pa | -6% | $1,985.09 | $437.97 | 28.31% |
4%pa | -4% | $1,547.12 | $315.93 | 25.66% |
6%pa | -2% | $1,231.19 | $231.19 | 23.12% |
8%pa | 0 | $1,000.00 | 0 | 0 |
10%pa | 2% | $828.36 | -$171.64 | -17.16% |
12%pa | 4% | $699.05 | -$129.31 | -15.61% |
14%pa | 6% | $600.07 | -$98.98 | -14.16% |
14%pa | 8% | $522.98 | -$77.09 | -12.85% |
市場利回り(Market yield)と債券の価格(Bond price)の関係は反比例(Inverse relationship)となる他、両者の間には以下のような関係性も見てとれます。
1. 市場利回りが2%増加(8%paから10%paに)した時の債券の市場価格の変化と、市場利回りが2%の減少(10%paから8%paに)した変化の両者の変化量(Magnitude of change)は異なります。利回りが減少(Decrease in market yield)した際の債券価格の上昇(Raising the bond’s price)の変化量は、収益率が同等に増加した時の価格の下落の変化量に比べて大きくなります。債券価格の変化の大きさは、利回りが2%減少(8%から6%)となったものと同じではない。市場利回りの低下は市場利回りに等しい大きさの増加のために債券の価格下落に対応するよりも大きい額により債券の価格が発生します。
2.凸の曲線(Convex curve)であり、市場利回りが下がる(Market yield drops)時、債券価格の上昇速度もしだいに増加し(Increase at an increasing rate)、利回りが増加する(Market yield increases)ときには、債券価格の下落速度はしだいに減少します(Decrease at a decreasing rate)。