救済は問題の根本解決にはならない
喧騒の後、スペインはついにEUに支援要請する事態となった。
支援金額は未だ発表されていないものの、ユーロ圏財務相は最大1,000億ユーロの金融支援に同意した。スペインの債務が急増するにつれ、多くの銀行が国有化となり、EUへ支援を求める道に突き進むことは想定内であったと言われている。そのうえスペインはユーロ圏第4位の経済大国であるため、ユーロ圏各国のトップたちは決してスペインを破綻させることができない。この「大破綻できない」という前提の下、ユーロ圏の構成各国は実質的に何があろうとスペインに支援しないわけにはいかないのである。
金融支援を得た後、スペインは緊縮財政政策を強いられ予算管理権を放棄することになる。緊縮政策の状況下では、スペインの社会情勢は揺れ動き、暴動やデモなどが続出してギリシャの二の舞を講ずることとなる。スペインがEUへの経済支援を公表したのち、国際金融市場はすぐさま大反発が起きた。しかし注意すべきは、スペインが経済援助を受けることは、問題解決を表しているわけではなく、信用不安が依然としてスペイン及びユーロ圏全体を巻き込んだ混乱状態にあることだ。事実上、過去2年間、EUなどの組織がすでに何度も異なる国々に経済支援を行っているものの、この信用不安は短期的な緩和効果のみで、長期的には解決に至っていない。
今後2ヶ月間、スペインは毎月数百億ユーロの債務返済期限をむかえることから、現地情勢は依然として厳しいと見られる。また、スペインの失業率が25%に達し、銀行の不良債権率が8%を上回っていることから現地の経済状態は長期にわたり衰退することが予測される。極めて悪い経済状況の中、スペイン政府は根本的な収入の糸口を見つけられていない。言い換えれば、スペインは将来もう一回、さらに一回とEUに経済支援を求める可能性が大いにあるだろう。
データによると、フランスはスペインの最大の債権者であり、借金を踏み倒した場合の最大の被害者となる。このことから推定すれば、フランスは全力でスペインを支援するはずだ。しかし、フランスの財政状況は去年からすでに注目を集めており、フランスが本当にスペインを支援する能力があるかどうか疑わしい。