オバマ大統領はイエレン氏の昇格を阻む
サマーズ氏がFRB議長の後任候補辞退を発表した後、イエレン氏がバーナンキ氏の後任となる可能性が極めて大きいと見られている。しかし、ある報道では、オバマ氏がサマーズ氏の指名で議員からの干渉を受けたことに不満を持っているため、前副議長コーン氏も次期議長候補であると言及しており、イエレン氏のFRB議長就任を阻止していると報じられている。
コーン氏およびイエレン氏は両者とも金融緩和措置の舞台裏の中枢メンバーである。理論上、2人とも現状の米国の超量的緩和環境が維持したい考えだ。しかし、コーン氏は過度な金融緩和環境はリスクをもたらすと表明しているため、コーン氏がイエレン氏よりも早期に緩和策撤退に踏み切る可能性が高いと見られている。
コーン氏と異なり、イエレン氏は緩和策撤退が米国経済にもたらす影響を非常に重視しているため、もし緩和策撤退が経済成長を大幅に後退させるようであれば、市場はイエレン氏が再度債券購入規模を拡大すると予測している。このように単に量的緩和策の面から見れば、イエレン氏はコーン氏よりも市場の支持を受けているわけである。しかし、一方でコーン氏はウォール街との関係が良好であるため、将来的にコーン氏がFRBの担当となった場合、この先金融機関が受ける管理規制が現在よりも緩和する可能性が高まる。
サマーズ氏が議長候補を辞退し、コーン氏が潜在的な候補者となるまでの間に、FRB議長の後任争いは政治争いへと変化してしまった。シリア問題では米義会及び国民がオバマ氏のシリア軍事介入をさせまいとし、米義会は次期FRB議長候補者の一件でもオバマ氏によるサマーズ氏指名を妨害した。続けざまの2つの打撃は、オバマ氏をあたかも「レイムダック」な大統領へと変えてしまったかのようだ。
威信挽回のため、もしオバマ氏が再び自身がおす候補者をFRB議長候補に推薦する場合、あらゆる手段を駆使して候補者をサポートすると予想される。もしイエレン氏が次期FRB議長に就任した場合、それはオバマ政権の勢いを失ったことの反映を意味し、この先オバマ氏の政策実施が徐々に難しくなる可能性がある。一方、もしオバマ氏が推薦した候補者が議長となれば、オバマ氏が強力なリーダーシップを取り戻すことになるだろう。