経済指標は良好を維持
中国は、輸出統計・工業生産・新規貸付額等を含む一連の好感を持てる経済指標を発表。市場予測を上回り、市場は中国経済が底を打ったと楽観視し、非鉄金属関連株やセメント関連株など景気サイクルの影響を受けやすい株式はこの勢いに乗じて好調に。
経済指標が好転するのは確かに好材料だが、好転の勢いが継続できるかどうかに注意が必要だ。従来から年の中頃は、主に年末のクリスマス需要に対処するため受注のピーク期となる。それゆえに、年の中頃のデータが多少良くても意外な事ではないのだ。中国本土経済が真の底打ちとなるのかを確認するには、この先2,3カ月間のデータが非常に重要となる。もし好転基調を継続できなければ、最近のデータの好転はサイクルを反映しただけのものとなる。
銀行はあらゆるビジネスの母である。銀行の貸し出し意欲及び能力によって、将来的な経済パフォーマンスは左右されてしまう。
7月中国新規融資額は7千億元近くとなり、今年で2割の上昇となっているものの、昨年同期比で見ると下落しており、このため7月の増加幅はなんともねじれた評価を受ける。とはいえ、喜ばしいことに7 月の社会融資規模(Total Social Financing)は8, 088億元に止まった。このデータは今年に入ってから2,434億元の減少で、減少幅が2割以上となっており、シャドーバンキングがある程度沈静化していることを反映している。
今年に入ってから、中国国家審計署(監査院)はシャドーバンキング問題を厳しく取り締まっているため、6月に銀行間始業金利が急上昇してしまった。もし社会融資規模をこの先さらに縮小できれば、銀行セクター改革へのプレッシャーを減少させる可能性がある。
しかし、中国人民銀行が全面的な金融緩和に踏み切る可能性は依然低く、全体の融資規模(新規融資+社会融資規模の増加)が依然大きいことが原因となっている。
投機的活動の助長を回避するべく、人民銀行は今後も比較的柔軟な金融政策を行うと見られ、公開市場操作(オペ)は人民銀行が採択する主要な抑制ツールとなるはずだ。規制圧力がある程度弱まるにもかかわれず、銀行は預金流出がもたらす脅威に直面しており、もし情況が悪化すれば、銀行の先行きは少なからず影響を受けてしまうだろう。