米緩和策撤退が足かせ
7月17日、FRB(米連邦準備制度理事会)議長のベン・バーナンキ氏が上院銀行委員会において、上半期の金融政策についての報告と証言を行った。
バーナンキ議長は、もし将来的に景気指数が米FRBの予測どおりであれば、今年の残り時間から予測して、適度に債券購入規模を縮小する可能性があるが、もし結果的に経済が改善を続け、インフレ率が正常な水準へ向かい続けた場合は、来年中に債券買い入れ策を停止する可能性もあると話しており、彼が特に強調しているのは買い入れ策には基本的なロードマップがないという点だ。
簡単に言うと、債券購入の調整には2つの方向性があり、どちらが採択されるのかは経済の先行きによって、規模を拡大することもあれば縮小することもある。今回の議会証言は、米国株の上昇をもたらすこととなった。
市場予測では、バーナンキ議長の今回の議会証言は、量的緩和策の擁護を続けることで、前回6月の議会証言で世界株式市場に衝撃を与えてしまったことを沈静化する狙いがあると見ている。
前回6月の議会後の記者会見でバーナンキ議長は、債券購入規模縮小のタイムスケジュールについて明らかにしており米国経済の将来性に改善予測が立ち、加えて米国の失業率が7%まで落ち着きさえすれば、今年中に債券購入規模を削減し、早ければ2014年中に債券購入策を停止する計画があるとも初めて明らかにしていた。
6月のこの発言は、世界の資産価値を急落。米ドルが急騰した以外は、先進国や新興国の株式市場が暴落し、国債価格及び米ドル以外の通貨ですらも大幅に下落した。
新興市場の受けた影響は特に深刻で新興国家にとって完全に基軸通貨は米ドルである上、多くの投資家がほぼ無利息の米ドルを借入れ、この資金を活用して高利息のオーストラリアドル等の資産を購入し、利ざやを得ている。このためオーストラリアドル等の新興国家の通貨の今回の下落傾向は他の貨幣よりも深刻となっている。
多くの投資家が米ドルをリスク回避資金として米国に留めていることが、米ドルの強いトレンドの原因となっている。また、米国では7月のNAHB住宅市場指数が57まで上昇、予測値の51を遥かに上回り、2006年1月来の新高値を更新し、景気拡大・縮小の境界線となる50を上回っている場合、現地の不動産業者が不動産市場の先行きに対し楽観的であることを反映している。
この先の市場の焦点は米国経済の先行きが重要な要因となり、米FRB議長のベン・バーナンキ氏の債券購入計画の変化がますます注目となる。