BRICs 4カ国の失速
前回の記事では、世界の投資市場の上半期のレビューを簡単にお伝えいした。新興市場が意外にもパフォーマンス低下となっていることがお分かりいただけたかと思う。
近頃BRICsのような新興市場国家であれば、経済発展が非常に速いのではないのか?なぜパフォーマンスが思わしくないのか?と、たずねられる事がある。
BRICs4カ国の各株式市場のパフォーマンス低下が進み、それぞれの株式市場が最高値となった時と比べて大幅に下落している。主な原因は以前にも何度か言及しているように、新興市場が国内外の問題に直面していることだ。
世界のファンド資金の動きを調査している企業「EPFR Global」のデータによると、今年3月以降、中国の株式ファンドから資金が流出を始めていることが明らかにしている。中国政府は3月初めに新しい不動産セクターの規制策を発表し多くの分析結果から、中国政府が不動産バブルを非常に懸念。もしこのまま金融引き締め政策が続けば経済成長に影響すると見られる。
南米のブラジルは物価上昇と内需低迷問題に直面している。
経済刺激のために金利引下げを選択すれば、インフレ圧力が通貨安を引き起こす可能性があり、政策当局が手の打ちようも無くなっていることを見抜いているかのように、ブラジルの株式市場では投げ売りが顕著。
その反面、ブラジルの競争相手であるメキシコでは、新政権への改革要望が過熱しており、メキシコとは対照的に、投資家はブラジル大統領ジルマ・ルセフ氏の経済政策をあまり高く評価していない。
インドでは昨年10月~12月の実質GDP(国内総生産)も、約4年来の最低水準を記録。経済成長は弱まると見られ、株価も伸び悩みのトレンドが顕著に現れている。
ロシアの下落は石油価格下落によるもので、石油価格の下落は米ドルが強くなったことに加えて、米国がシェールガス開発を強化し石油使用量を減らしていることが原因となっている。
BRICsの株式市場が新高値を更新したのは金融危機勃発前の07~08年の上半期であった。その当時は、経済成長への期待感が後押しとなって、欧米の資金が大量に流れ込んだものの、金融危機の後、全体的に反発速度が緩まってしまった。
株価には投資家の予測が反映されており、多くの場合で実体経済よりも先行しているので欧米の株式市場と経済の様子を見ればよく分かるだろう。