不動産価格はこの先下降傾向
過去数週間、香港の不動産株セクターが大幅に下落している。
米FRBの緩和策撤退への懸念および中古不動産市場が香港政府による「打撃」(印紙税増税などの不動産市場抑制策)を受けたことが、いずれも続落の原因と関連している。この両者の要因を比較してみると、筆者は米FRBの緩和策撤退への懸念よりも香港政府による「打撃」の方が不動産関連株へ与えた影響が遥かに大きいと見ている。
なぜならば「打撃」は不動産市場に発生している影響は、リアルに影響しているからであり、それに対して、緩和策撤退への懸念は今のところ投資家心理にしか影響していないと言えよう。
政府の「打撃」によって不動産購入コストは大幅に上がり、需要が縮小するに伴い、中古不動産市場の成約件数は顕著に沈静化している。しかし、全体の不動産価格にはまだ大幅な下落は見られない。
なぜならば銀行のローン金利が低水準にとどまっているため、不動産所有者は保有し続けることができ、焦って価格を引き下げる必要がないのだ。新築不動産市場にとって、中古不動産市場の成約件数が伸びているかどうかは重要な数値となり、もし中古不動産市場があまり活発でなければ、「転がし」が難しくなり、どのみち新築不動産市場の販売にも圧力がかかってきてしまう。
不動産開発業界は「回転が早い」ことを重んじるため、中古不動産市場が再び活性化できないとなれば、スムーズな資金の流れを維持するために不動産デベロッパーがこの先、新築不動産物件の価格を引き下げる可能性はきわめて高く、それらの収益力に否応無しに圧力を受けるだろう。
さきほど言及したように、住宅ローン金利が極めて低い水準であるため、不動産価格にはまだ顕著な調整が見られない。しかし、もし米FRBが本当に撤退となれば、金利引上げの可能性は高まると見られ、その際に不動産所有者は所有物件の売却スピードを加速させ、不動産価格はより明らかな調整基調となるはずだ。
米FRBがいつ緩和策を撤退するのかは誰にも分からない、その上で金利引上げは何時かとなれば言わずもがなだ。しかし確かなことに、緩和策撤退の可能性は年月が経つに従い高まっている。すなわち、半年後の緩和策撤退の可能性は今日よりも高く、半年後よりも一年後はさらに高まるということだ。
ここから推定するに、ローン金利の引上げ予測はこの先絶えず高まっていき、不動産所有者の物件売却を駆り立て加速していくと見られ、不動産価格はこの先下降傾向が大方の流れとなるだろう。