ヒンデンブルグ・オーメンは下落の予兆
4月15日に続き、米国株は5月29日に2度目の「ヒンデンブルク・オーメンHindenburg Omen (株価暴落の兆しが見られるテクニカル分析パターン)」が発生。
統計資料によると、米国株が40日以内に大幅下落となる確率が70%以上となっている。1985年から2009年の間に米国株式市場では「ヒンデンブルク・オーメン」が27回発生。その内21回/27回は発生後5%以上の下落幅を記録、更にその内の8回の下落幅は15%を上回った。「ヒンデンブルク・オーメン」の発生後、かならずしも毎回下落しているわけでは無いのだが、この指標の参考となる以上、投資家の警戒につながってしまう。加えて、米国株はすでにかなりの上昇幅が累積しており、量的緩和政策の撤退への懸念で暗雲が漂っているため、米国株にやや大幅な調整が展開してもおかしくはない。
もし米国株が5%下落しても、下落幅はまだ穏やかであると言え、世界の金融市場に及ぼす影響は限定的であるだろう。しかし、下落幅が15%以上に達した場合、世界の金融市場には恐らく「マグニチュード7」レベルの大地震が発生し、その際にはリスク回避貨幣の米ドルを除き、株式や為替や債券及びコモディティのトレンドは暴落する運命から逃れられない。
事実、米国株のみならず、最近の世界各国の株式市場はいずれも弱体化の兆しが見られる。テクニカルの形態が崩壊し始めており、まるで「暴風雨」が下準備を着々と進めているようだ。香港株式市場を例にとると、ハンセン指数はすでに何日も連続して50日線を下回っており、マーケットが中期的に調整の波を形成していることを反映している。加えて、期日を迎える先物取引の件数が先週すでに11万を越えており、今月の株式市場は高い確率で「大揺れ」になると見られ、後半の市場の大幅な値動きには期待がもてる。
もし米国株が確実に調整となれば、量的緩和政策撤退の懸念がぬぐえないことが直接の下落原因となる。
FRBは今月後半に協議を行うが、協議が行われる前に、市場は政策撤退への懸念から国債売却へ走り、金利上昇は株価下落を誘発する可能性がある。会合の声明内容から撤退の可能性が低いということが明らかになれば、株式市場は強いトレンドの回復が見込めるだろうが、逆に高いとなれば、株式市場は更なる下方圧力を受けることになる。
つまり、世界の株式市場はこの先の1、2週間で大荒れとなる可能性が高いため、くれぐれも焦って投資決定をするべきではない。