与信基準引き締め
春節が明けてからまだ、中国本土の株式市場の基調が弱い。
中国人民銀行による金融引締め及び中央政府による不動産市場の規制強化に対する懸念は株価下落を招く主な要因となっている。春節休暇明けに、人民銀行は約8カ月ぶりとなるレポ取引を実施。市場は今回のレポ取引が人民銀行の金融引締めの始まりだと懸念している。
春節明け以降、資金需要が低迷し人民銀行がレポ取引で過剰資金を回収するのは決しておかしくはないために、現段階で、人民銀行が金融政策(Monetary Policy)の方針転換があったというのは時期尚早と言える。しかし、少し前の報告で人民銀行は「インフレ制御」の必要性に言及しており、この先一年人民銀行は厳格な監視体制のもとマネーサプライを抑制すると見られる。事実上、人民銀行は春節前にすでに一部の銀行に与信制限を通達しており、融資額のペースの加速に対し極度に関心を寄せていることが反映されている。
また、ここ三年ほど中国中央政府は不動産市場の安定に力を尽くしてきた。不動産市場の過熱は社会不安や経済危機を誘発することは望んでいない。しかしながら、資金氾濫のため近月の不動産市場は上昇を続けている。
「安定維持」が大前提となる中、中央政府が再び不動産市場の規制を強化する可能性は確実にある。中央政府が再び規制強化に乗り出すか否かは依然として未知数だが、この懸念は中国本土の不動産関連銘柄を短期間の内に調整圧力にさらしてしまうことは十分に考えられる。
中国本土か香港かに関わらず、不動産市場の沈静化は非常に容易な事ではない。
両政府にとってこの先一年、不動産市場問題は「頭痛の種」となりそうだ。
「両会」の開催が間近となり、市場は中央政府の新しい国策の公布があるかどうかに関心を寄せている。その国策とは「制止」政策なのか「支援」政策なのかに分けられる。このため、投資家にとって「両会」は投資チャンスをもたらす可能性もあれば、投資リスクをもたらす可能性もあるのだ。
「支援もあれば制止もある」という状況下で、中国と香港の株式市場では「両会」開催期間に「炒股不炒市(マーケットの良し悪しに関わらず有望株をねらって取引する)」という局面が現れるだろう。このほか、マーケットは中央政府の都市化政策に関する発表に非常に期待を寄せており、ひとたび中央政府の都市化発展に関する具体的な政策予定が先延ばしとなれば、失望し中国本土及び香港の株式市場に比較的深い調整をもたらす可能性がある。