前途に立ちはだかる不確定要素
米国の昨年第4四半期経済成長が意外に0.1%縮小。
国防予算が大幅に削減されたことが主に起因し消費の回復により企業の棚卸在庫が減少したことも原因の一つに挙げられる。
たしかに消費や固定資産関連投資の面では成長を記録しているが、特殊な要因が経済縮小を招いたのだとしても、0.1%縮小と市場予測の1.1%に成長とでは、すこぶる大きい違いがある。米国経済回復へ道筋は未だ見られないことから、米国経済の回復力が依然として弱いのは明らかだ。
事実上、直近のFRB(連邦準備制度理事会)議会後の声明では米国経済の停滞が続いていることを表現しており、米国の前途は依然として不確定要素が立ちはだかっていることを表している。
予測のとおり、FRBはこれまでの金融政策を継続。つまり金利水準を0%~0.25%で据え置き、なおかつ毎月850億USドルに拡大しきた国債購入が継続される。加えて、FRBはインフレ率予測が2.5%を上回らない範囲で失業率が6.5%程度に落ち着くまで超低金利の経済環境を堅持するとも発表している。
現在の失業率と物価の状況から鑑みると、FRBは現段階において政策を終了する根本的条件が見当たらない。米国はいずれにせよ現在の金融政策を終了する日が必ず来るだろうと多くの人々が予想しているが、日本の例から見て、経済不振が続けば超低金利政策や大規模な量的緩和政策は中央銀行の半永久的な対策となってしまう可能性がある。
言い換えれば、米国の金融政策の終了は遥か遠くの未来となる可能性が高いと言える。
経済刺激策を引き続き検討しなければならない以外に、財政問題の処理においても一刻の猶予も残されていない。これまで、ワシントン政府が債務上限問題においてひたすら時間稼ぎに注力してきたため、問題はいまだ根本的な解決を見ていない。
5月中旬を前に、民主・共和両党は財政計画について合意に達しなければならならず、さもなければ米国は再び債務不履行の危機に陥る。もし両党が再び債務問題を先延ばしするのであれば、マーケットは失望と忍耐の限界をむかえ、金融市場を大きく揺るがしかねない。
前途に霧がかかったなか、ワシントン政府は歳入の増加あるいは支出の削減は険しく、米財政問題が簡単に解決しないことは自明の理である。このほか、FRBの絶え間ない国債購入によって貸借対照表BSが08年時と比較して3倍にまで膨張しており、この資産バブルは米国におけるもう一つの時限爆弾となってしまうであろう。