「香港株直通車」への期待
「香港株直通車」再始動が再び市場の焦点となる可能性がある。
07年の記憶によれば、「香港株直通車」のニュースが伝えられた際、ハンセン指数は短時間で20,000から32,000ポイント近くまで激増、その後温主席は「直通車」を中断、香港株式市場も続いて長期間の調整の波を展開してしまった。あれから5年以上も経過し、たとえ「香港株直通車」が再始動したとしても、香港株式市場への影響は07年時とは比較できないのである。
まず、香港株式市場へ投資する場合、中国本土の投資家には古くからの独自の方法とルートが存在している。
次に、郭樹清氏によると、QDII2の推進は、中国本土投資家へ海外投資を推奨することを目的としている。海外への投資とはつまり中国本土の資金を世界各地へ流れるよう奨励することであり、香港株式市場は当然この恩恵を受けることになるが、香港だけが恩恵を受けるわけではない。
「香港株直通車」が香港株式市場への唯一の投資手段というわけではなく、そして香港株式市場もまたQDII2市場からのみ恩恵を受けるわけではない以上、「香港株直通車」の期待感からくる香港株の高騰に希望を託すのは現実的ではないのだ。
07年の「香港株直通車」騒動の後、投資家はやや理性的に変化しており、再び同様の期待感から容易に熱狂的な投機を行うことは無くなっている。このことは、郭樹清氏発言後の香港株式市場に未だ持続的な大幅上昇が現れていない点から見て取れる。もし市場が中国本土の「香港株直通車」再始動に大きな期待感を持っているならば、香港株式市場は更なる上昇を見せるはずだが、実際のところ、郭樹清氏発言後に取引高の縮小が見られ、マーケットは明らかに「香港株直通車」再始動に対し慎重な態度を保っている。
香港株式市場のこの何カ月の上昇トレンドは主に投機的資金の流入が牽引している。香港ドル為替が先週金曜日から弱気に転じるに従い、資金流入の情勢は逆転する可能性がある。香港ドル為替が弱気に転ずると同時に、香港株式市場の取引量は減少、加えてハンセン指数は1月3日から横ばい状態で、高値レベルでの大口投資家の取引も例外なく売りの動きがひっそりとしている。一方で、一部の不動産信託ファンドは連日好調で高値を更新しており、少し前から投資家が高ベータ値銘柄を追随する情況とは大きな隔たりが生まれているため、近い将来、株式市場が比較的深い調整に踏み込む兆候に注意。