FRB国債購入終了は時期尚早
FRB(連邦準備制度理事会)の議事録によると、一部メンバーから国債購入措置を今年中に終了すべきとの提案が出ており、いつ終了するのかはこの先FRBの議会において重要な議題の一つとなるであろう。
もし国債購入を終了させるのならば、FRBはまず米国経済を新たな軌道に乗せることが先決である。現在、米国の失業者はなおも1,200万人以上、加えて経済成長力も十分とは言えない。このため、FRBが年内に国債買い入れを終了する可能性は高くないと筆者の見立てである。
多くの人は遅かれ早かれ国債購入が終了すると見ているが、皆様は米国が本当にFRBの国債購入の止めてしまう現実性を想像したことがおありだろうか。日本を例に挙げると、ゼロ金利政策や量的緩和措置は日銀の十八番となっており、長期に及ぶ経済の衰退は、日銀がこういった金融政策を止めるに止められない主な要因となっている。こういった前例から米国経済が弱い動きが続くのであれば、超低金利と量的緩和が行われる環境が長期にわたるであろう。 加えて、今年の米国経済の財政問題の懸念が影響を受ける可能性が大いにある。光が見えぬままのFRBによる国債購入の終了は百害あって一理なく、米国経済の発展に理想とはいえない。オバマ政権の苦悩を増やさないためにも、米国の財政問題が解決する前にバーナンキ議長が国債購入終了を宣言するなどありえないはずである。
米国の国債発行総額は先月末には、すでに法律で定められている上限の16兆4千億ドルに達しており、もし共和・民主両党が2月中旬までに財政再建策の協議合意に達せなければ、米国国債のデフォルト(債務不履行)の危機に直面してしまう。
オバマ氏は共和党との協議において断固として譲歩しないと表明しており、今月中に発表となる一般教書演説において債務上限問題解決にむけた財政再建策を決定する見通しだ。オバマ氏の共和党への強硬な姿勢が軟化しなければ、おそらく共和党は反撃に出てくるはずで、今後共和・民主両党間の主導権争いはさらに激化するだろう。事実上、08年の金融危機以降2党間の政治的綱引きは、しばし経済問題が二の次となり、この状況が改めなければ、米国の長い展望のある発展に思わしくない影響を与えくる。