大統領選挙、欧州債務危機対応へ
欧州の信用不安が再燃している。
スペイン10年債の利回りが上昇したためギリシャと同じ道をスペインが歩み、永遠に回復できない所までに陥るのではと、悲観的な観測がある。事実、スペイン政府は欧州中央銀行に直接債券の買い取りをすでに公に要求したているが、ここからもスペイン政府の債務危機に対するプレッシャーが見てとれる。今月に入りスペインの返済期限がむかえ、期日を迎えた債務超過額は300億ユーロに達するほか、今後、融資をとりつける方法がはたして見つかるか、マーケットの焦点となっている。スペイン以外では4月にイタリアの債務がおよそ総額600億ユーロの期限が到来することになる。スペイン、イタリアの両国が今月内にむかえる巨額の債務返済の「痛み」の後、いったん危機を乗り切るものと分析されている。
スペインとイタリアは数カ月以内に難関を何とかやりすごしたとしても、年内に少なからずさらなる壁が待ち構えている。本年度7月と12月はスペインの債務期限が再びピークをむかえ、二か月分で合計約900億ユーロに達する。4月の以降、イタリアに関しては、償還期限を本年度、第三期と12月にむかえ、期限到来債務の累計は2,000億ユーロ強となる。以前、ギリシャは、百数十億ユーロ程度の債務の期限で、全世界の金融市場を不安定に陥れさせたが、スペイン、イタリアの両国の巨額債務が期限をむかえるにあたり、グローバル金融市場に再度大きな激震を与えても決して不思議ではないと言える。
その債務問題のほか、ギリシャやフランスは選挙で市場の欧州信用不安への政府の対応が、クローズアップされることとなる。ギリシャの総選挙により、次期政府が改革案を翻すのではないかといった不安と、フランス大統領選挙の結果いかんによっては、EUの債務危機の対応にもさらなる影響を与えるとことなる。世論調査によると、現職のサルコジ大統領の支持率はオランドに9~14%下回り、オランドの主張は金融タカ派のドイツとたがえています。言い換えると、オランドが勝利すると、EUの債務危機への対応方法に、新たな変数をもたらすことになる。優等生ドイツへの潜在的怒りや嫉妬をオランドが躍起する選挙術を利用することも考えられ、イタリアとスペインが「地中海同盟」を結び、ドイツが直面する壁はさらに大きなものとなる。