年末まで世界の株式市場はもみ合い
10月の強い反発を経て、11月の香港株式市場はもみ合い相場に戻り、投資家の情緒は慎重になってきている。
2012年は間もなく過ぎ去り、今年に残された時間の中で、世界の株式市場は上下反復を繰り返すレンジ相場を過ごす可能性がおおいにあると筆者は見ている。
年末が近づき各ファンドの今年の業績はほぼ確定しており、利益を出せているファンド・マネージャーたちにとっては今年の残された時間で利益確定にベストを尽くすのみとなった。対して赤字を出しているファンド・マネージャーとなると、年内に損失を取り返すことはほぼ不可能となっているため、彼らが年末前に積極的に市場エントリーする可能性はさほど高くない。つまり、利益のプラス・マイナスに関わらず、ファンド・マネージャー達は一時休戦体制に入るだろう。このように年明けまで勝ち負けの先送りは、年末前に世界の株式市場に一種のレンジ相場をもたらしてしまう原因の一つである。
このほか、米国の共和・民主両党が「財政の崖」問題で合意に達することができるかどうかも、世界の株式市場における投資の雰囲気を左右する。一般的に、共和・民主両党は米国史に汚名を残すことは避けたいとし、このため両党が最終的に合意に達する可能性はきわめて高い。しかし、協議が合意に達する前に、二党間でいくつかの論争が巻き起こる可能性があり、世界の株式市場に反落原因となる。
過去の慣例にのっとれば、政治の妥協は往々にして最後の最後にようやく成り立つ。言い換えれば、両党は多分に12月末になってようやく朗報を発表する運びとなるであろう。
米国のほか、欧州の情況にも注意しなければならない。少し前にフランスはムーディーズによる格下げを受けたわけだが、フランスが欧州債務問題を解決する上で重要な役割を担っている関係上、最終的に最高格付けを失ったことが足かせとなる。ESFS(欧州金融監督制度)の格下げを受け、ESFSの市場救済能力にも影響すると考えられる。8月にECB(欧州中央銀行)が無制限の国債購入を宣言した後、市場の欧州債務危機に対する関心は薄れているといえる。しかし現実的に、欧州債務危機は依然として未解決であり市場はいつでも欧州へ再びスポットを当ててくるだろう。年末が近づき、ユーロ圏の国々は来年の財政予算の策定において赤字削減目標の旗をかかげることは、支援する側の国家とされる側の国家の論議を尖鋭化させることになり、市場の欧州債務危機に対する関心度を再び高めてしまうことになるだろう。