RQFIIは景気好転してこそ効果あり
中国証券監督管理委員会(証監会)の郭樹清主席は、中国本土がRQFII(人民元適格海外機関投資家)の投資総額を2,000億人民元に増加することを大筋で同意したと発表した。しかし、このニュースに中港両地の株式市場は決してポジティブに反応していない。
実際のところ、資金は株式市場をリードする要因の一つにすぎず、往々にして資金の流入よりも経済や企業の先行き見通しの方がより重要である。株式市場のトレンドは企業の業績如何にかかっており、つまり企業が巨額の利益を出せるか否かに左右され、現在の不明瞭な経済先行きのもとでは、企業の利益能力の備えには大いに疑問が残る。それゆえ、たとえ中国本土が更にRQFIIの規模を拡大した今でも投資家が市場に参入する確信を持てていない。米国の「財政の崖」問題だけをとってみても、すでに多くの投資家に懸念を抱かせてしまっている。
このほか、中国本土及び海外投資家が本土資本市場に投資する際にRQFIIを基準にするはずがなく、類する売買に参加するにはすでに異なるルートが存在しているため、RQFIIは関連取引を制度化しただけのものなのである。同様に、中国本土の投資家が香港上場株を購入する場合も独自の方法が存在する。ここ何か月、香港ドル為替相場は強いトレンドを継続しており、人民元も為替改革後の最高値を絶えず更新している。この現象は資金が香港を経由して中国本土に流入している関係性をあらわしており、これは、中国本土への投資において、経済回復あるいは十八大がもたらすチャンスをつかむのが目的のようだ。
資金が本土に流れ込むスピードが加速するにつれ、加えて香港の人民元資金の総額はすでに7,000億元に達している。本土への資金参入の状況を更に正確に調査するため、および本土への資金流入に更なる秩序を持たせるため、この時点で中国政府がRQFII投資枠の拡大を発表したのは適切なタイミングだ。
QDII、QFII、RQDII、RQFIIなどはみな新しい事柄ではないのだが、近年の中港株式市場において未だ際立った効果を表していない。特に中国本土の株式市場の状況が大きな失望になっている。上述の措置は株式市場の中長期のトレンドを転換させることができなかっただけでなく、「国家投資チーム」の参入や保険会社の株式投資の規制緩和なども、株式市場に短期的にしか影響しなかった。以上の様々な前例からわかるのは、基本的要因が好転する前に市場参入資金の規模を増加したとしても、市場参加者の最も重要な判断材料にはなり得ないということだ。