香港株式市場、中長期的には投資価値あり
5月2日の21,385Pの高値から18日には18,622Pへ下落、ハンセン指数の累積下落は2,700Pを越えた。
このような大幅な下落に直面し、多くの投資家から筆者に寄せられる多くの質問の主な内容は「現在どんな種類の投資戦略をとるべきか」「将来的にどのように配置するべきか」といったものがあげられる。短期的な市場相場において、筆者の見解としては、比較的に期待がもてずハンセン指数が18,000ポイントを割る恐れがあるだろうと確信している。
ハンセン指数の月足チャートからわかるように、香港株式市場に比較的深い調整が行われる度に、下落の波は多くの陰線ロウソク足を構成しているものの、ボリンジャーバンドの底部にまで下落するか割りこんでいる。
現在、ハンセン指数の下落の流れはローソク足の陰線を形づくるだけで、そのうえボリンジャーバンドの底部に未だ達していないため、筆者には香港株式市場の調整が完成に至っていないと確信するに足る理由があり、下落の波は6月まで続くだろうとみている。目下、月足チャートが示すボリンジャーバンドの底部は約17,600ポイントとなっており、言い換えれば、ハンセン指数が将来上述のレベルに下落しても決しておかしくはない。
今後香港株式市場の下げ相場を早期に終息させるための要因は2つある。第1に、米国がQE3を出すか否か。そして第2に中国がこれ以上多くの経済刺激措置を出すか否かである。ねじれ調整は来月末には終わると思われ、ヨーロッパ債務危機の悪化が明確な状況下、米国政府がQE3を推進める可能性が高くなるだろう。このほか、温家宝総理は近日穏やかな経済成長が重要なポジションにあると言及、彼の発言は中央政府が将来経済刺激政策を打ち出す際に反映されるのではないだろうか。もし米中が足並みをそろえて経済政策を行うのであれば、香港株式市場の調整は早期に終結する見込みがある。もちろん、もし米中が経済刺激政策を出さなければ、また加えてギリシアがユーロ圏から離脱するような場合、香港株式市場の調整の勢いは予想よりもさらに深くなるだろう。
香港株式市場の目下の平均PER(株価収益率)は約12。これは国際水準の15~16と比較して低く、もし株式市場を悩ませるリスクの原因が将来さらに悪化しないならば、香港株式市場の現在の水準は中長期的に魅力的な価値がある。よほど欧州の更なる悪いニュースが出ない限り、ハンセン指数が年内に20,000以上の水準に戻ることは難しくないはずだ。中長期の投資と比較して、短期での投資は反発リスクが極めて高いといえる。