経済の発展は高付加価値へ
欧米経済の衰退が足かせとなり、中国経済はここ数年低迷期にある。
経済がいつ底打ちとなるのかは依然として未知数であり、胡錦濤主席は「中国経済は依然として明らかな下降圧力が存在する。と述べた。経済下降局面にあたり、PBC(中国人民銀行)と中央政府はそれぞれ市場における流動性の向上および1兆人民元規模のインフラ建設プロジェクトの実施を通して経済刺激を行っているが、効果のほどはまだ観察を続けるべきである。現在の中国経済の状況は理想的ではないものの、長期的な発展の角度から見て、不景気は悪い事とは限らない。なぜなら経済の逆境は、否応なしに人々を新たな思考へ追いやるため、構造改革のきっかけを提供することとなったのだ。
経済発展の初期段階において急速な成長を追及することは、さほど非難すべきことではない。しかし、経済発展の規模がある程度にいたれば、量よりも質を備えた経済を追及することがより重要となる。以前、中国本土は安価な労働力の提供を売り物にし、このため「世界の工場」の称号を得た。このような長年にわたる急速な発展を経て中国の労働者コストは割高になり、ベトナムやバングラデシュ、ひいては一部のアフリカ国家までが、次第に中国に取って代わって企業の生産工場拠点となってきている。再び安価な労働力を中国のセールスポイントとするのは不可能である以上、中国は高付加価値産業へ発展の方向を転換する必要がある。
単一国家の基準でいえば、中国のGDPはすでに米国に次いで世界第2位の経済大国となっている。経済規模は巨大であるものの、中国には国際的に有名な自国ブランド製品が不足している。米国といえば、すぐさまアップルのiPhoneやマイクロソフトのウィンドウズなどを連想できるであろう。欧州と言えば、PradaやBurberryなどの一連のブランドが思いつくはずだ。しかし、国際市場において有名な中国製品を挙げるのはなかり難しい。高付加価値産業を発展さるには、この先中国は、必ず積極的に自国ブランド製品の研究開発しなければならない。中国が自国で研究開発した製品が国際市場で成果を打ち出すことができた時、中国経済は質を兼ね備えた時代を迎える可能性が見えてくるはずだ。