今月の香港株式市場は、一方通行相場の可能性
中央銀行の年次例会において、バーナンキ氏は必要がある時には量的緩和を行う用意があると発表した。
しかし必要がある時とはどのような時なのかは未だ言及されていない。一般的には、バーナンキ氏が指した必要がある時とはおそらく雇用統計が悪化に転ずる時、あるいは不動産市場が再び下落する時のことだろう。バーナンキ氏はまだQE3の早期実施を宣言していないものの、彼はQE3がFRBにとって重要な経済刺激措置であることを明確にしており、これはFRBが依然としてQE3実施によって経済刺激をするつもりが有るのかどうかに対して市場がずっと抱いていた懸念を打ち消す好材料だ。バーナンキ氏の演説後、世界の株式市場のパフォーマンスは落ち着いている。米国経済が短期間で急激に悪化することさえなければ、投資家たちが再びQE3実施を株式市場活性化の理由とみなすのは難しい。言い換えれば、米国市場救済措置への期待感にかこつけた投機的売買は一段落を告げたといえる。
市場救済措置への期待感の中、ハンセン指数は8月9日に月間最高レベルの20,300へ上昇、そして市場救済への期待感の沈静化に従い、指数は8 月31日に月間最低レベルの19,450へ。8月の香港株式市場は先に上昇、後に下降のトレンドが見られた。ハンセン指数の先月の高低差は900ポイント近くで、波の間隔が非常に狭い月となり、市場には傍観の雰囲気が濃厚であることがわかる。先月の比較的重苦しい市況を経て、9月の香港株式市場は比較的明確な上がり下がりとなるはずだ。すなわち「一歩通行な相場」が出る可能性が高まるということだ。事実上、ハンセン指数のおのおの主要な平均線の距離はたった300ポイントほどで、平均線が近付くのは後の相場方向が明確になる予兆をあらわしている。平均線が近付く局面は今年5月にも出現しており、その際のハンセン指数は欧州債務危機の煽りをうけ18,000ポイント近くへの大暴落となった。今回が歴史の再演となるかどうか、刮目して待機。
チャートでは、ハンセン指数は1つの窓空け山を形成しており、この脅威は解かれるべきで、市場全体が8月30日に記録した窓空け(19,770から19,657ポイント)へ戻って窓を閉める必要がある。この他、ハンセン指数はすでに今年6月末から続いた上昇トレンドから離脱、ハンセン中国企業株指数でも今年最安値を記録し且つ去年10月末からのサポートラインを割り込んでしまっている。トレンドから判断して、ハンセン指数とハンセン中国企業株指数は、すでに新たな下落の一方通行相場を展開していると大いに言える。現在、やや予想しにくくなっている原因は、中央銀行に何かしらの動きが有るかどうかにある。もし動きがあれば、香港株式市場は先に反発上昇した後に再び下落する可能性がある。