二大著名投資家、金保有拡大
世界的なインフレの原因が米国が干ばつに再び見舞われたことにあるかもしれない以上、インフレに対抗する「金」の未来は、従来の観点からも強気相場に転換する可能性があるのではないだろうか。5月初旬から金はボックス相場で、約1,550米ドルから1,640米ドルの間で推移しており、3カ月この状態が続いている。このことから、このレンジを抜け出すのは時間の問題である。
データによると、ソロス・ファンド・マネジメントおよびポールソン&カンパニーが今年絶えず金ETFなどの保有を増加してきている。ソロスは6月末にSPDRゴールド・トラスト(SPDR Gold Trust)の88.44万株を保有、持株量は前四半期内と比較して倍の増加幅を記録。そしてポールソンについては、その持株は26%増加の2,180万株にも達している。明らかに、2大著名投資家は金を有望視しているのだ。事実上、金相場は近日1,640米ドルを上回っており、金相場が本当にブレイクするかに注目だ。
ソロスとポールソンが金を有望視する理由として2つの可能性がある。第1に、インフレ再来の見込みがあること、そして第2にFRB(連邦準備制度理事会)のQE3(量的緩和第3段)実施を確信していることがあげられる。近頃、国際原油価格は上昇を続けており、欧米各国の経済不振でいまだ原油価格を抑えられていない。過去12カ月でニューヨークの原油先物価格の上昇は10%を越えた。原油価格だけでなく、食糧価格も大幅に上昇している。大豆とトウモロコシを例にみると、両者の過去1年の上昇幅はそれぞれ20%と10%近くに達している。上述のような状況の、世界的にインフレ率に対する上昇圧力が強まる可能性が潜在しているのである。
このほか、FRBがQE3を実施するかどうかによって、インフレへの大きなインパクトを与える。QE1およびQE2を実施した際、世界経済は高インフレ期に陥り、ECB(欧州中央銀行)の金融引き締めや、欧州債務危機の爆発が世界経済へ暗い影を落とし、その後に、インフレ圧力はようやく終息した経緯がある。直近の米連邦準備理事会(FRB)FOMC後の声明では、やや悲観的な言葉で現在の経済状態を形容していることから、米国のQE3実施の可能性は以前より高まっていると言える。考えてみれば、もし米国が本当にQE3を実施し、そして欧州が再び量的金融緩和を続け、加えてエネルギーと食糧の価格が高止まりとなるなら、高インフレ時代の再来は必然となる。
個人投資家はもちろん、ソロスとポールソンに追随して金関連の持ち高を増やすことが可能である。しかし、より確実な策略としては金相場が1,640米ドルを上回るのを見極めてから、ようやくエントリーすることである。