ベトナム市場が熱い、成長加速と外資流入で投資妙味
MSCIフロンティア・マーケット指数の約4分の1を占めるベトナム株は、第1四半期に6%上昇した。
近年、グローバル・サプライ・チェーンの再構築により、ベトナムは主要な製造拠点となり、世界的な輸出国へと変貌を遂げた。政府は規制の簡素化や官僚手続きの削減、外国投資の積極的な誘致を進めており、これが功を奏している。特に半導体やAIといった先端産業への進出が進んでおり、今後さらなる成長の可能性を秘めている。貿易政策の不確実性がリスク要因として残るものの、IMFの最新予測では、昨年のベトナムのGDP成長率6%は2025年にも維持される見込みであり、ASEAN諸国を上回る成長が期待されている。また、2024年の債務残高対GDP比は約34%と、近隣諸国と比較しても健全な水準にある。
バリュエーションの面では、ベトナム株のPER(株価収益率)はMSCIフロンティア・マーケット指数の11倍に対し、MSCIベトナム指数は16倍となっており、フロンティア市場全体と比較すると割高に見える。しかし、成長力や投資環境の改善を考慮すれば、これは「割高」ではなく「適正価格」とも言えるだろう。今後、外資のさらなる流入が進めば、一段の評価向上が期待できる。
米国市場が弱含む中、テクノロジーセクターの潮目が変わりつつある。米国の「マグニフィセント・セブン」銘柄は今年に入り合計で15%下落した一方、中国のハイテク株は上昇を続けている。では、なぜ中国のハイテク株はこれほどまでに強いのか?
その背景には、AIスタートアップ「ディープシーク」のR1モデルの登場など、業界の革新がある。AIやロボット工学分野における中国企業の技術力が、投資家の予想を上回る成長を遂げているのだ。加えて、中国当局の積極的な支援も見逃せない。今月の全国人民代表大会(NPC)では、PBoC(中国人民銀行)のハイテク産業向け再融資プログラムの拡大や、イノベーション資金を支援する新たな債券プラットフォームの導入が発表され、AIやデジタル技術の加速が政策として明確に打ち出された。
投資家にとって、この状況は見逃せない好機だ。中国のハイテク産業は政府の強力な支援を受けながら、米国のテクノロジー企業と比較してもなお割安な水準にある。現在のバリュエーションのディスカウントを考えれば、今後の成長を見越した買いが入りやすい状況と言える。AIやハイテク技術の進展が、ハイテクセクター全体を再評価へと導く可能性が高い。中国市場の勢いを取り逃がさないよう、今こそ積極的にポジションを検討すべきタイミングかもしれない。