貿易摩擦再燃でハイテク株下落、シンガポール市場も軟調推移
シンガポールの株式市場は金曜日に急落し、各地域の下落に連動してストレーツ・タイムズ指数(STI)は週間で0.87%の下落となった。しかし、2月のSTIは1月の1.8%上昇に続き、1%の上昇を記録。短期的な調整はあったものの、中長期的には市場の回復力が示されている。
経済データは、貿易価格の下落が続いていることを示した。シンガポールの輸入物価指数は前月の3.6%減に続き、1月も前年同月比1.3%減少。同様に、輸出物価指数も12月の3.1%減に続き、1月は2.2%減少し、対外貿易の圧力が続いていることを示している。だが、こうした状況はすでに市場に織り込まれている可能性が高く、ここからの反転のタイミングを見極めることが重要だ。
一方、製造業部門では価格が急上昇した。1月の製造業製品価格指数は前年同月比6.2%上昇し、前月の2.7%上昇から加速。国内供給価格指数も5.5%上昇し、12月の1.5%上昇を上回った。これは企業収益の改善を示唆しており、今後の市場環境にとってプラス材料となり得る。インフレ懸念とともに、一部のセクターでは価格転嫁が進んでおり、企業業績の底上げに期待が持てる。また、シンガポール国内メディアの報道によると、同国から中国の人工知能企業ディープシークへのエヌビディア製の先端チップが不正に移動された事件に関連し、3人の男性が詐欺罪で起訴された。この事件の影響でテクノロジー関連の規制強化が進む可能性はあるが、長期的にはAI市場の成長が鈍化するわけではなく、むしろ規制が明確になることで新たな投資機会が生まれることも考えられる。
香港株式市場は水曜日に急騰し、ハンセンテック指数は一時6,000の大台を突破する3年ぶりの高値を記録した。しかし、週末にかけてハンセン指数は3%以上急落し、ハイテク株比率の高いハンセンテック指数(HSTECH)は米中貿易摩擦の再燃を受けて5%近く下落した。このような乱高下があるからこそ、市場の波を捉えたタイミング投資が重要となる。
ブルームバーグの報道によると、ドナルド・トランプ米大統領が来週から中国からの輸入品に対して10%の追加関税を課す計画を発表した。これは今月初めに導入された10%の関税に続くものであり、米中間の貿易摩擦が一層激化するとの懸念を高めている。この発表を受け、投資家心理は悪化したが、過去の貿易摩擦時にも一時的な調整後に市場が反発するケースが多かったことを考えると、長期的な視点でチャンスを探るのが得策だ。
中国最大の生鮮飲料チェーンであるミクスエ・グループ(2097.HK)は、ここ数カ月で香港市場において最も注目されているIPOの一つとなっている。同社の強固なサプライチェーンと超低価格戦略により、市場デビューに対する投資家の期待が高まっている。新興企業の成長ポテンシャルに投資することで、高リターンを狙う機会が広がっている