リスク市場の安定と貿易摩擦の影響
リスク市場は先週、全体的に安定した動きを見せました。一方で、貿易摩擦の影響が続く中、ドル指数は下値を模索する展開となりました。中核国債は、投資家が次期米政権の最新人事を注視する中で上昇。特に、予算への懸念が高まり、フランス国債とドイツ国債の10年物利回りスプレッドは拡大しました。
米国株式市場は、連休中ということもあり、小幅な上昇にとどまりましたが、ユーロ・ストックス50指数はフランス株安に引っ張られ、やや弱含みの展開でした。
日本市場では、日経平均株価が円相場の反発(対米ドル)を背景に先週の上昇分を取り戻しました。円安からの巻き戻しが市場心理を左右しましたが、今後の為替動向が再び焦点となる可能性があります。
新興市場(EM)では、株式のパフォーマンスが地域ごとに異なる展開を見せました。中国の上海総合指数とインドのSENSEXは堅調な上昇を記録しましたが、韓国のコスピ指数は下落。日銀がサプライズ利下げを実施した影響で、国内マクロ経済の見通しと地政学的リスクに対する懸念が引き続き市場を圧迫しました。
コモディティ市場では、原油と金が堅調な推移を示し、投資家のリスクヘッジ需要が確認されました。特に、地政学的リスクが続く中で、安全資産とされる金の需要が拡大しました。一方で、銅も上昇を見せ、工業金属に対する期待が一部で回復していることを示唆しています。
先週の動きは、地域間や資産クラスごとのパフォーマンスの違いを明確にしました。これは、リスク分散の重要性を改めて浮き彫りにしています。米政権の人事や主要中央銀行の動向、地政学的リスクの進展が市場を動かす要因となるでしょう。投資家にとっては、これらの変化を冷静に分析しつつ、ポートフォリオを適切に調整することが鍵となります。