米大統領選と金融政策が揺らす市場動向
米大統領選挙が近づき、リスク市場は慎重姿勢を強め、米DXYドル指数も上昇後の安定を見せています。米国とユーロ圏の経済指標の上方修正を受けて、主要国債は軟調な動きとなりました。イギリスのギルトは、政府借入に対する懸念から米国債に遅れを取る一方、ナスダック市場はハイテク大手の業績見通しが失望で売られ、ユーロ・ストックス指数も圧迫を受けました。日本の株式市場では、日銀総裁のタカ派発言による円高進行が日経平均の上昇幅を限定的なものとしました。
エマージング市場でも全国人民代表大会の動向を控え、中国株式は上海総合指数やハンセン指数が下落し、インドのSENSEX指数は横ばいです。コモディティ市場では、地政学的リスクの緩和による原油価格の下落が見られる一方、金価格は最高値を更新しており、投資家心理に一部安定が戻っています。
10月の米非農業部門雇用者数は1.2万人増と予想を下回り、失業率は4.1%で横ばい。市場はFOMCでの25bpの利下げを織り込んでおり、今後6回にわたって追加の利下げが行われ、2025年6月までにフェデラルファンド金利を3.25~3.50%に下げる見通しです。この雇用統計により、米10年債利回りは4.38%に上昇しましたが、S&P500種の約75%が第3四半期決算で市場予想を上回っており、堅調な決算が投資意欲を支えています。
日本銀行も10月の会合で政策金利を0.25%に据え置き、対外経済情勢の注視を強調。日本円は過去1ヵ月で対米ドルで約6%下落していますが、内需主導の企業の収益回復が期待され、国内消費を支える好機となり得ます。