ダウ平均S&P500ともに年初来で1.4%の上昇
先週末、WTI原油先物は、米国内の在庫が少ないという懸念よりも、景気後退への懸念が上回っていることから、それまでの上昇幅を縮小し、先週1バレル73.8ドルで取引を終えた。中国の感染症が高騰しており、当局の再開努力にもかかわらず、中国の主要輸入国の需要見通しを悪化させ続けている。
米国株式は、一連の経済指標を受け、FRBによる積極的な金融引き締めへの期待感が後退したため、大幅高で取引を終え、主要株価指数を週間ベースで大幅に上昇させた。
米国の賃金上昇率は12月に予想外に鈍化し、前月までの数値も大幅に下方修正された。雇用統計は9ヶ月連続で予想を上回る雇用増を示し、米国労働市場の頑強な逼迫を示す証拠となった。ダウ平均株価は700ポイント、S&P500種指数は2.3%上昇し、ともに年初来で1.4%の上昇を記録した。一方、ナスダック100は、10年債利回りが15bps低下し、FOMC議事録のタカ派的なシグナルを受けて反発し、2.8%上昇した。
今週の見通しとして、米国では12月のインフレレポートが強く期待されている。総合インフレ率は前月比で横ばいとなる可能性が高く、その結果、年間インフレ率は7.1%から6.6%に鈍化し、2021年10月以来の低い数値となる可能性がある。コア消費者物価は前月比0.3%上昇し、年率は5.7%となり、1年ぶりの低水準となる可能性が高い。来週はミシガン大学の消費者心理や輸出入物価も注目される。投資家は、スウェーデン・リクスバンク国際シンポジウム「中央銀行の独立性」でのパウエル米連邦準備制度理事会議長の講演にも注目することになる。また、金曜日には決算シーズンが始まり、Bank of AmericaやBlackRock、Citigroup、 JPMorgan Chase、and Wells Fargoなどから報告がある。米州では、ブラジルとメキシコで12月のインフレ率が発表される予定だ。
中国の貿易統計に注目が集まり、高騰する牛海綿状脳症が経済に与える影響があるかどうか注目。世界第2位の経済大国である中国は、CPIとPPI、住宅価格も新たに発表する予定である。
欧州では、ユーロ圏の失業率は11月に過去最低を記録し、産業活動はユーロ圏、ドイツ、フランスでわずかに回復したことが示される見込みである。一方、ドイツでは2022年のGDP速報値が発表され、予測では1.9%と2021年の2.6%から減速する見込みである。