人民元が新時代に突入
この2〜3ヶ月、中国本土ではA株の暴落に始まり、中央政府の激しい救済措置、そして中国人民銀行による人民元の激しい切り下げと、市場を揺るがす出来事が相次いだ。
両株式市場の売買高の縮小や指数の不安定な動きに見られるようにニュースの波は香港と中国の投資家の信頼を失墜させることになった。好材料がなく、回転率も不十分な香港・中国株は、当分の間、好調に推移することは難しい。
株式市場の安定化という観点からは、中央政府の暴力的な救済措置は成功したと言えるが、「市場に入るのは簡単だが、出るのは難しい」。中国証券監督管理委員会(CSRC)は、今後数年間は市場から撤退することはないとし、当局が今後もA株市場の発展を注視し、異常な取引が検出されればいつでも再び介入することを示唆した。SFCが今後数年のうちに市場から撤退しないという事実は、間違いなく市場心理を安定させるが、正式な撤退の遅れは、A株の国際化にマイナスの影響を与える可能性がある。
今回の急激な切り下げは、人民元が切り下げサイクルに入ったのではないかと市場が懸念しているように、人民元の方向性の根本的な変化を疑わせるものであった。為替レート改革導入後、為替レートメカニズムはかなり改善されたが、人民元の価格設定は基本的にまだPBOCがコントロールしており、人民元安トレンドの鍵を握るのは公式スタンスである。いずれにせよ、人民元が双方向に発展する時代に入ったことは確かである。
人民元が突然激しく切り下げられたことで、アジアで再び金融崩壊が起こることが懸念されています。人民元の切り下げは、すでに弱くなっているアジア通貨に圧力をかけることは否定できないが、人民銀行が人民元のトレンド切り下げはないと明言していること、また、アジアの国や企業の財務状態は98年の金融不安のときよりもかなり健全になっていることから、当面はアジア金融不安の再現の可能性は低いと思われる。