金とオイルはサポート不足
ドル高と需要の低迷を背景に、金や原油などの商品価格はこのところ下落が続き、金価格は1,100米ドルの大台を割り込み、ニューヨークの原油価格は50米ドルを割り込んだ。金と原油の今後のパフォーマンスについては、商品市場を苦しめる要因が当面変わりそうにないだろう。現在の世界情勢をみると、近い将来、主要な地域や国々で金融危機が発生する可能性は低く、インフレ圧力が急激に高まることはないと思われる。また、中国人民銀行の金準備高が市場予想を下回ったこと、さらに米ドル相場が利上げ期待に支えられたことも、金価格のパフォーマンスを弱める要因になった。
伝統的に9月と年末はそれぞれインド人と中国人の金購入のピークシーズンであり、これらの日に金がより良いパフォーマンスを発揮できるかどうか観察が必要だろう。
原油価格については、ドル高とは別に、中国や欧州の景気低迷が続いていることから、原油市場が供給過剰となっていることも弱気の要因の一つだ。米国とイランが核問題で合意に至り、米国はイランに対する経済制裁を解除し、イランの原油生産量は日量100万バレル増加すると予想されている。イランが世界への原油輸出を再開すれば、世界の原油供給量は急増し、原油価格はさらに圧力を受けると考えらる。原油価格の下落は物価上昇を抑制する効果があるのに、なぜ人々は金の価値を守るために金を買う必要があるかというと、原油価格の下落が金の投資価値を弱めるからだと考えられる。
原油価格は低迷しているが、来年の米国大統領選挙にブッシュが長年石油業界と関係があることから、彼が候補者となれば原油価格の回復も否定はできないだろう。