MSCIは中国A株の採用を急ぐ理由ない
指数算出会社MSCI/モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルはA株と呼ばれる中国本土株について、幅広く追跡されている新興国株式指数への組み入れが近いことを明らかにした。中国が進める市場の開放性・透明性改革が前進したことの表れと言える。
株がMSCIに組み入れられれば、A株は上昇し、香港株も恩恵を受けることが期待される。 一方で逆であると失望感から香港や中国の株式市場が調整される可能性があるだろう。
A株の国際化が今後、加速されることは間違いないが上海・香港証券取引所傘下のA株は、完全な国際化にはまだまだ時間がかかる。A株の開放性とは別に、MSCIは判断の際に人民元の国際化を考慮するし、ここ数年、人民元の国際市場での受け入れは確かに大幅に増加しているが、いつ完全にフロート化されるかはまだ不明なので、来月、A株がMSCIの構成銘柄に含まれることにはあまり期待しないほうがよいだろう。
ここ数ヶ月、A株は急激に上昇しており、一部の銘柄はすでにファンダメンタルズとかけ離れたものになっている。このタイミングでA株のMSCIへの組み入れが発表されると、火に油を注ぐことになり、MSCIに連動するインデックスファンドはより高い価格でA株を追いかけることになる。市場リスクをさらに増大させないためには、A株がより妥当な水準に戻るまで待ってからMSCIに参加する方が良いのだ。
投機により本土GEMの時価総額は5兆元を超え、PERも急上昇し、株主たちは本土GEMを「ミラクルボード」と呼びだした。短期的にはホットマネーの要因で株式市場は極めて無理な水準まで上昇しているが、長期的には株式市場の価値は現実と乖離してはいけない。