証監会がシステミックリスクを軽減
本土の官製メディアは「A株の上昇は正当である」という記事を多数掲載した。中央政府のサポートを受けA株は確実に上昇しているが、A株の投機があまりにも過熱しているため、中国証券監督管理委員会はついに株主に対して、盲目的に投資の流れに乗らず、下調べをしてから市場に参入するようにと「温かい注意喚起」を行った。
A株が暴騰し、2つの金融商品の残高が1.8兆元にまで増加している中で、証監会がシステミックリスクを軽減するために株式投資家に冷や水を浴びせるような発言をしたのは理解できる。本土の官製メディアがA株の上昇傾向を時折擁護することに、筆者は疑問を感じている。
公式メディアが株式市場を支持に回るのは政府がA株市場の上昇を望んでいるという印象を与え、その考えは株主が市場に殺到するという効果をもたらす。実際、政府の責任は金融システムの安定性を確保することであり、株式市場が上昇するか下降するかは、市場の需要と供給によって決定されるべきものである。例えば香港では、株式市場が盛り上がっているときには、関係者は「リスクに気をつけて、市場に入るときは慎重に」としか言わない。近年、中央政府はA株市場を国際的な舞台に引き上げることに熱心に取り組んでおり、国際市場への収束を成功させるためには、本土の役人は頻繁に株式市場の盛衰に影響を与えるような発言や記事を出すのではなく、規制の役割を十分に果たす必要があるだろう。
かつて、A株市場が急落したとき、多くの株主は投資の損失を政府のせいにした。
本土の株主が多いため、損失を政府のせいにしてしまうと社会的に不安定になる恐れがある。本土の株式市場は過去20年ほどの間に何度も浮き沈みを経験しており、本土の株主も成熟する時期に来ていると思う。株主の成熟度を高めるためには、投資のリスクや責任を理解してもらうための投資家教育の強化が重要となろう。