滬港通へのファンドの参加規制が解除
海外の投資家が中国本土株に投資する場合、QFII/適格海外機関投資家とRQFII/人民元適格海外機関投資家を、中国本土の投資家が海外株に投資するにはQDIIを経由しなければならなかった。
「滬港通/Shanghai-Hong Kong Stock Connect」の導入により、個人であっても海外投資家が中国本土株に、中国本土投資家が香港株に直接アクセスできるようになっていたのが、CSRC/中国証券監督管理委員会は、本土の公的資金がQDIIを取得しなくても香港株に投資できるようにした。
出来高が上がれない滬港通にとっては確かに朗報となっているが、実際にどの程度の効果があるかはまだ不明だ。本土のファンド業界にとっては、滬港通へのファンドの参加規制が解除されたことで業界の発展が促され、滬港通をテーマにしたファンドが続々と登場することが予想される。現在、A株はH株に対して30%以上のプレミアムがついており、中小企業板や成長企業板の株価収益率は60~90倍に達しており、A株への非合理的な投機の一部は、資本が他の投資を容易にできないことに関連している。 本土のファンドが香港の株式に直接投資できるようになったことで、本土のファンドは割高なA株を売って南下し、バリュエーションの低いH株を取り込むという選択をするかもしれない。
過熱した株式市場を行政的に強制的に冷却するよりも、滬港通を活性化させてA株の評価を調整する方が良いのであろう。
ただ、A株に流入する資金量は、滬港通の活発な取引とは必ずしも関係がなく、2つの株式市場に資金流入を呼び込む鍵は、経済の見通しと株式市場の魅力にある。 経済の先行きに自信があり、株式市場にアップサイドの可能性がある限り、南向き売買/Southbound Tradingの資金の増加は、北向き売買/Northbound Tradingの資金の増加も伴う。
かつて、香港証券取引所の参加者の大半は個人投資家で、主にファンダメンタルズに裏付けられていない可能性のある小型株を取引していた。 今後、港股通関連のファンドか流行すれば、ファンドは大型株への投資が主となるため、A株市場では手が出されなかったブルーチップや国営企業銘柄が南下資金の流入対象として活発になると予想される。