ユーロに警鐘を鳴らすギリシャの選挙結果
ギリシャの選挙では急進的な左派連合が勝利し、新首相のアレクシス・チプラスは直ちに債務救済を要求し、緊縮財政の廃止を提案した。
ここ数年、債務問題を抱える国々はEUからの援助を得るために緊縮財政を積極的に採用してきた。緊縮財政によって経済がさらに悪化し、経済政策への発言力を失ったため、近年では緊縮財政の実施に反対する人が増えつつある。
国民の反緊縮支持を得たチプラス首相の勝利は一矢を報いたが、市場は反緊縮の波がさらに広がるかどうかを懸念しており、反緊縮の声が同様に高まるスペインでも政権交代が起きてしまう可能性に市場の注目が集まっている。
世界の金融市場にとって、ギリシャのデフォルトやギリシャ経済が崩壊するかどうかはイシューではないかもしれないが、市場が心配しているのは、ギリシャの心変わりがユーロの地位を揺るがすかどうかということだ。 チプラス首相は、ギリシャにユーロ離脱の意思はないとしながらも、債務交渉の再開を提案したが、それはECBやドイツ、フランス、ナショナル・ファウンデーションなどの過去の慣行を否定することに等しいもので、いずれかの政党が態度を軟化させない限り、ギリシャのユーロ離脱のリスクは残ると考えられる。
債務交渉が再開されれば、反緊縮派の勝利を意味し、現在緊縮策を実施している国が混乱し、ユーロ圏全体が混乱することになるため、援助機関の立場からすれば、チプラス首相の提案を受け入れることはないだろう。
ユーロ圏の設立自体、加盟国の背景が異なるため、各国の経済政策を統一することは基本的に不可能であり、同一の経済政策を実施する事はほぼ不可能であり、折悪しくも欧州債務危機によってこの問題が顕著となってしまった。チプラス氏の当選でユーロ圏に警鐘が打ち鳴らされた事から、ユーロの存続問題が市場の焦点となり、今後ドイツ、ECB、IMFなどがいかに混乱をどう収拾するかに市場の関心が集まっている。