金相場は中国需要に依存
金価格に影響する要因として、投資需要や実質需要があげられる。
その投資需要とは投機的なものをいい、実質需要とは個人や国がフィジカルゴールドを買い付ける一定の原因を指す。近年、中国における金の需要は、引き続き上昇しており、昨年、中国本土での買い入れ量は、一昨年と比べ20%増加し、769.8トンにも達し、それらは中国人民銀行によるもが大部分をしめた。ここ2年公式発表がないために、現在の中国の金保有量は未知数ではありますが、直近の2009年にいたる保有量は1,054トンに達し、国別では世界5位になっていた。
中国は金の消費国
中国人民銀行以外には、中国本土の民間もまた金に対する一定の需要を有している。これは、主に近年、絶えずインフレ圧力の高まりや資金の代替投資オプションの不足があいまって、中国本土の証券市場が低迷した結果、投資やリスク回避ツールとして民間の金需要にむかっているから。昨年、中国本土のプレートやコインに対する需要は70%増の258.9トンにも達したことからもわかるように、民間の膨大な需要が見てとれる。今年は辰年でしかも双春閏月と呼ばれる巡り年のため、結婚ラッシュとなり、民間の金への需要は引き続き増加が見込まれる。また、WGC(世界黄金協会)の統計によると、中国はインドを抜き世界第一位の消費国となるようだ。
証券市場と米ドル、金価格
中国要因に支えられ、金価格の見通しは楽観的といえますが、直近は膠着状態であることを留意すべきだ。米ドルの継続的な下落はここ十年、徐々に金価格の上昇をもたらし、その長期間にわたる上昇により、今では金価格の水準はほとんど疲弊状態となっている。
ヨーロッパと日本のより一層の量的金融緩和政策の実行と通貨の不安定な状況下にも関わらず、金価格は依然として急騰してない。これはおそらく、金価格が調整周期に入った兆候のサインととらえるべきです。一般的に金価格の動向の多くは、米ドルの動向と相反し、今年後半のアメリカ大統領選挙が米国の証券市場にとって悪いはずがなく、逆に、金相場が低調になるかもしれない。
強い証券市場が米ドルを支え、強くなったドルが金価格を少なからず抑圧するのだ。言い換えると、強気相場基調の前の深い調整段階が来たと言えるだろう。