大統領選挙の年と株式市場の意外性
米国債利回りが低水準で推移するなか、最近、ドイツの国債は利回りが過去最低水準になるほどに買われている。これは投資家たちのリスク回避への姿勢の強まりを反映しており、リスクをとって株式投資するより、わずかでもリターンを得たい考えだ。昨今、多くの世界株式市場では取引がまんべんなく低迷しており、このように取引量が不足する状況下では、突出したトレンドの出現は望みにくい。
株価収益率(PER)関しては、多くの株式市場で低い水準にあるものの、全世界の主要な経済システムの下降トレンドが出現しているが、ひとたび企業の利益が減少すれば、現在低水準のPERはすぐさま上昇する可能性が出てきてしまう。その時が来れば、株式市場の吸引力は急激に低下するはずで、この懸念が投資家たちの株式購入の意欲を削ぎ弱めてしまっている。
今年の第1四半期にわずかな安定回復を経た後、世界経済は翌四半期にマイナスへ反落。現在の情勢からして、年内に世界経済が好転する兆しは見えにくく、引き続き市場が停滞し底値を探る可能性がかなり大きい。
経済の見通しが明るくない以上、投資家らは企業の減益に対してしっかりと心づもりをしておく必要がある。米国株式市場において、企業はすでに業績発表の時期にさしかかっており、香港株式市場の発表の時期については来月となる。企業の利益数値は、株式市場の価値への評価をマーケットが改める手助けとなる。そのため、企業がじきに発表する業績は、この先の投資戦略策定に重要な影響がある。
業績・経済などの要因から視点を変えると、いくつかの従来言われているようなイベントも株式市場のトレンドに影響する。今年は折よく米大統領選の年であり、「米大統領選イベント」は下半期の焦点となりそうだ。一般的に米国大統領選の年は米国株式の出来高はさほど悪くない。過去5回の大統領選の年を振り返ってみると、ITバブル(Dot-combubble)崩壊で金融津波が00年及び08年の米国株式の下落を招いたが、これ以外は92年・96年および04年の米国株式はすべて上げ幅を記録した。このことから、よほど大きなマイナス要因が出てこない限り、大統領選挙の年における米国株式は下落するよりもプラスリターンを得る可能性の方が大きいことが見て取れる。それゆえ、投資家は銘柄を選ぶ際に、米国関連株に十分に注意を払い、相当なリターンをもたらす意外性もあることを留意すべきである。