インフレ、年内に反発する可能性
今年の経済成長率目標を中国大陸は7.5%と定め、インフレ率を4%以内の水準に抑えることになった。
輸出や外国からの直接投資の減少を考慮すると、前述の経済成長目標を実現するのは、そう簡単ではない。内需を拡大するのが国家の重要な政策となっていますが、これには二つの方法がある。
内需の消費の拡大と固定資産への投資が不可欠となり、まず、消費の拡大のために金融危機の際に行った家電や自動車に対するものと類する消費促進政策を実施するものと予想される。固定資産の方面では、保障性住宅の建設規模の拡大、インフラプロジェクトの再開の可能性があり、これにより7.5%の経済成長率を問題なく達成することが可能となるのだ。
経済成長目標を8から7.5%に引き下げたのは、経済の下振れ圧力以外に、中央政府がやみくもな経済発展をこれ以上追及しない意思表示ととれる。
長年、テンポのよい経済成長を経て、経済の地盤を固め、量より質の向上を目標と定めることで、余分で非効率な建設投資などの問題の再発を防がなくてはならない。コスト増加に伴い中国の低コストはセールスポイントではなくなり、高付加価値セクターに向かわなくてはいけない。
経済成長目標に比べ、インフレ率を4%に抑えることは難しかもしれなく、特に、欧州中央銀行の第2回LTRO後、グローバル資金が氾濫し再度インフレを誘発するためだ。
新興国市場ではすでにインフレが再び加速し、インドネシア政府の警告もあり、この問題は中国経済の先行き不明瞭な要素と、見ることができる。
多くの投資家は中国人民銀行がインフレ圧力減少に伴い金融緩和することを期待しているが、一旦インフレが起こると中国人民銀行には緩和する余地がすでになく、資産市場に大きな衝撃をもたらすこととなる。
中国人民銀行の預金準備率の引き下げは、インフレへの警戒を表し、投資家は中国大陸のインフレ反発の心づもりをしっかりと持つべきだろう。